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 第493回特産品で村おこし

(2011年11月07日)

1979年に、当時大分県知事だった平松守彦氏によって提唱された一村一品運動は、WTO加盟交渉を進めていた中国にとって大きな福音となりました。世界の自由貿易の枠組みに入る事は長年の悲願でしたが、一方で、価格競争力に劣る中国農家にとっては加盟は死活問題だったからです。一村一品運動を定着させるためには、広大な中国の隅々まで交通インフラを張り巡らしたり、農村の産業化・科学化・情報化など様々な難問がありましたが、20年来の苦心が実を結び、全国に特産品による村おこしに成功した農村が続々出現しています。以前に紹介したとおり、建国60周年に際し、平松氏が過去100年で最も中国に貢献した10人の外国人の中に、ただ一人日本人として選ばれたのにはそれだけの理由があったのです。
近年顕著なのが地域の特産品のブランド化を目指す動きでしょう。甘粛省の定西市は中国のジャガイモ三大集中生産地の一つで、年間総生産額は18億元、1万トン以上の加工企業は20社を超え、「中国ジャガイモのメッカ」を、四川省成都市の蒲江県は2012年には10万ムーのキウイフルーツ生産基地を建設、将来的には世界最大のキウイフルーツ生産地を目指しています。“楚江紅”ブランドの小エビを看板に掲げるのが湖北省。養殖面積は306万ムー、生産量は24.5万トンに達し、潜江市は小エビの郷を自称しています。中国青海省は一村一品運動を強力に展開、2011年5月の時点で678箇所の村が野菜・果物・きのこ類、更には様々な養殖や工芸品など特色ある農業を形成し、産業システムの構築を目指しています。
中国ウーロン茶の名産地、福建省安渓県は、産業化の中で生じた人材不足を補うため、福建農林大学と提携して国内初の茶芸本科学院、安渓茶学院を設立する事になりました。ブランド化と共に、それを維持し発展させる人材の育成もまた急務になっているのです。
南方の広西や海南からはマンゴーでの村おこしが、また、豊富な竹を使った村おこしの話題も各地で盛んですが、こういった動きをサポートしているのが地域の特産品を保護し、ブランド化することで商品価値を高めようという<地理標識製品保護生産品保護協定>。2005年7月に施行され、2010年12月からは外国製品2種(フランスのコニャックとスコッチウイスキー)も含めた1170品の優良品に対して特別な保護が加えられる事になりました。こうしたブランド化による経済効果は顕著で、この傾向は今後も勢いを増すことでしょう。

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