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 第512回2011年人民日報日本関係記事−その3−

(2012年3月26日)

2011年は辛亥革命100周年、9月30日付では、孫文を助けた梅屋庄吉の功績を克明に伝える記事が写真付で大きく掲載されました。一方、抗日戦争関係記事は2011年が九・一八80周年なので、一定量の記事が掲載されました。領土領海問題では、同年1月13日付23面が全面を使って「歴史的に見た魚釣島の主権帰属」という、清華大学当代国際関係研究院副院長劉江永氏の論文を掲載しました。中国側の論拠として閲読する価値があります。
日本の経験に学ぼうという姿勢は今年も健在。中国は今、住宅問題が焦点になっているので、日本の低所得者向け住宅制度や公営住宅運営方法に強い関心が向けられています。また、高層ビルでの火災事故が頻発する現状から、ここ30年間大きな高層ビル火災がない日本の防火システムが、食の安全の観点から日本の「大地を守る会」の活動が注目されました。
技術面で注目されたのは京都大学の新タイプ万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」で、その他、火力発電による環境問題が深刻な中国として、日本のクリーン石炭技術も大いに注目されました。企業活動では、カシオ、カネボウ、H.I.Sなどの企業の創造性と貢献度が紹介されました。もう一つ、2011年に大きく取り上げられたのがなでしこジャパンの活躍。単にその成果を紹介するだけではなく、年初からあった「中国サッカーは日本に何を学ぶべきか」(2011.1.19)という視点、7月5日の川渕三郎氏の北京での講演を大きく取り上げた記事(7.7付)の流れを受け、「日本の女子サッカーはなぜ奇跡を生み出したか」(7.11付)と続きました。こういった「良いものは良い、謙虚に学ぼう」という中国人の率直な姿勢にはいつも感心させられます。日本人も中国に学ぶべき点がたくさんあるのですが---。
日本社会に対するウオッチングは2011年も健在でした。「タイガーマスク、愛のバトンリレー」(1.21付)、「福袋が映し出す変遷」(1.31付)、「東京の11の専門学校による就職活動セレモニー」(2.11付)、「日本にもスネカジリ族が」(2.24付)、「日本のラーメンを賞味」(9.9付)、[日韓女性の独身ブーム](10.13付)などなど。日中間では環境技術を中心とした技術交流、従来からの文化交流や経済交流も益々活発化し、日本への観光ビザも緩和が進み、銀座にはハイアールの大きな広告塔も出現しました。過去の歴史や政治、異文化の壁を乗り越えて、両国関係が更に発展する事を祈りましょう。

三瀦先生のコラム