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 第516回石油と天然ガスの国内開発

(2012年05月01日)

2009年に石油の海外依存度が初めて50%を超えた中国。その比率は益々増大しつつあります。また、比較的環境への負荷が少ない天然ガスの需要も急速に拡大しています。
第11次5カ年計画(2006−2010)期間中、中国は国内生産拡大に力をいれ、石油は年平均1.9億トン、世界第5位の産油国の地位を維持し、天然ガスも2010年には946億立方メートルと5年で倍増、世界第10位の産出国に躍進しました。また開発技術の進歩による成果として、新しい理論や探査方法で四川・新疆・南海など各地で1000億立方メートルクラスの大天然ガス田7箇所、1億トンクラスの油田6箇所発見され、資源の枯渇が懸念されていた大慶油田でも、技術開発でここ数年安定的に年産4000万トンが維持されています。また、海底油田やガス田の開発技術も進み、従来の500メートル程度から3000メートルにまで範囲を拡大しても作業が可能な目処がついた、とも伝えられました。しかし、目覚しい技術革新を評価する一方、ひとたび事故が起こった場合の対応に、時期尚早の声も上がっています。2011年6月4日に渤海油田で注水ミスから岩盤がひび割れ、原油が流出したにもかかわらず、1ヶ月も情報を公開せず、漁業に深刻な打撃を与え、韓国からも強い抗議を受けた事件は、この心配が決して杞憂ではない事を物語っています。海底30メートルの事故が効果的に抑制できなくて、3000メートルで事故が起こったらどうするのでしょうか。とは言え、最近の新規油田は圧倒的に海底油田が多く、開発の勢いにどこまでブレーキを掛けられるか、一方で政権内の派閥抗争も絡んで予断を許しません。
2011年時点で、中国の石油地質資源量は881億トン、可採資源量は233億トン、天然ガスはそれぞれ52兆立方メートル、32兆立方メートルと年々着実に増加していますが、それでも海外依存度は経済発展に押され、一向に減る気配はありません。液化天然ガスにいたっては、2011年、中国は既に世界第4位の消費国になっており、毎年25%増加し、第12次5カ年計画末には、中国のエネルギー消費に占める割合が4%から8%に倍増、2600億立方メートルになり、3分の一は輸入に頼らざるを得なくなる、と試算されています。重慶市で始まった中国初のオイルシェールの開発、新技術により2015年までに15億トンを見込む採掘可能石油の増加など、国内産出量を増やすあらゆる努力が進められています。

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