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 第517回福祉事業の問題−その1−

(2012年05月07日)

2011年中頃、慈善組織を通した寄付が激減しました。3月から5月は62億6000万元も集まったのに、6月から8月は8億4000万元に急落したのです。あるネットの調査では、80%以上のユーザーが「もう赤十字には寄付しない」と答えました。どうしてこんな状況になってしまったのでしょうか。中国では慈善組織の情報公開が進んでおらず、寄付金の使途について以前から疑問が燻っていました。民生部主管の機関による<2010年度中国慈善透明報告>によれば、全国2000を超える慈善基金会の75%がほとんど情報を公開しておらず、多くがネットに関連サイトがなく、年次報告・財務報告さえない組織も。
こんな中、世間を騒然とさせたのが“郭美美”事件。ネット上で“中国紅十字会商業総経理”という肩書きで豪奢な生活をひけらかし、大問題になりました。中国紅十字会側はすぐさま、全て架空で事実無根である旨声明を出しましたが、同時期の6月27日に会計監査局が同会の2010年の予算執行と財務に関して、420万元余りの適正価格を超えた過剰支出など5つの問題を指摘、それ以前にも同会には2008年に災害支援で支援したテントが1張1万3000元計算だった疑惑や、2011年になって上海の盧湾区红十字会が会の費用で豪勢に飲み食いした“万元食事代”事件、1台500万元で購入し100台寄贈したCTスキャンが1台12万元ではないかなどという疑惑がまとわり、人々の不信は頂点に達しました。同様の例が中国婦女発展基金会でも起こっています。2011年8月、ネット上に、同基金会が貧困家庭に送った環境保護ストーブは1台数十元のものを756元で売り、儲けを全国婦女連合会とそのストーブの製造者の家族が会員の内蒙古生態優化協会で山分けしている、と言う書き込みがありました。中華慈善協会では、尚徳という企業が「2008年以来6500万元以上のソーラー発電機材などを寄付したが、ほとんど学校には送られず、99%が転売されている」と批判しました。宋慶齢基金会が鄭州市鄭東新区に建造中の高さ24.15メートルの宋慶齢の胸像も大問題に。同会は「黄河の娘」だ、と言い逃れたけれど、写真は正真正銘の「おばさん」。華南同会青少年児童活動センター建設の一環で、周辺には大理石を貼った幾つものオフィスビルも。建設会社は以前金銭にからみ物議を醸した同基金会系企業。勿論、各会は弁明に努めていますが、シロかクロか、庶民は疑心暗鬼。では今後の対策は?それはまた次回に。 

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