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 第520回学校給食

(2012年05月28日)

2011年10月26日、国務院が農村義務教育児童栄養改善計画の実施を決定しました。中央政府が毎年160億元余りを支出、680の県や市、約2600万人の児童を対象に、一人当たり平均3元を補助しようというものです。政府が行ったサンプリング調査によれば、2010年の農村住民一人当たりの平均食費支出額は1801元で、年間通学日に対し1日3元計600元はちょうどその3分の一にあたります。
これまで、農村貧困地帯の児童の食事は極めて粗末なものでした。例えば、2011年4月11日に人民日報に掲載された記事によると、
「貴州省羅甸班仁郷では、財政不足で寄宿設備が無く、児童は農家に寄宿しており、通学に数時間かかる上に学校への寄宿を前提とした政府の補助も受けられず、食材と薪は持参で、自ら火を起こして調理していた。といってもメニューはご飯に菜っ葉と塩、トウガラシで、ほぼ肉を食べた事もなく、食事は1日2回が普通。しかし、同年、3月31日、児童一人ひとりに食事用のトレーが配られた。給食が始まったのだ。5月には正式の食堂も完成する」。こういった類似のケースは甘粛省からも報告されています。
また、山東省の即墨市では「温かご飯プロジェクト」が始まりました。雲南省のある自治県でも、小中学生の朝ごはんに無料で卵一つとマントウ一つを配給する事になりました。陝西省では「タマゴ・牛乳配給プロジェクト」を実施して2年、対象地域の児童の身長が平均して4センチ近く伸び、体重は2キロ増えたとも。
2011年に発表された<中国児童発展綱要>は、引き続き小中学校児童生徒の栄養改善計画を推進することを謳っていますが、問題もあります。2011年11月18日付人民日報に「“免費午餐”を“學生奶”にするな」という文章が掲載されました。11年前に児童生徒の栄養摂取を高めるため導入された「生徒牛乳」で問題が続出した苦い経験があったからです。「地方政府や学校・食堂・業者などが寄ってたかって補助金を詐取し、結果として、受益者たる児童生徒に行き届かなくなる可能性が相当程度懸念される」と言うのです。補助金をどういったルートで誰に渡すのか、経理上のチェックは誰が責任を持って行うのか、食事内容の栄養バランスや材料の安全性、衛生上の問題はどうするのか、制度設計が問われています。

三瀦先生のコラム