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 第550回整風への取り組み−政府の対策

(2012年12月25日)

過剰な飲食による浪費も結局は権力者へのおもねりに繋がり、過剰な接待を生みます。人間関係がすべてを決し、“人情”「付き合い」が最優先の中国社会ではなおさらで、“酒文化”が骨の髄まで染みとおっている官界の気風を正すのは容易ではありません。河南省西峡県からの投書(人民日報2012.1.10)では、100万元のプロジェクトを承認してもらうために鄭州に行き、認可のお礼に省政府の責任者を接待したが、県の局長に「乾杯が一杯欠ければ10万元資金供与を減らす」と高級白酒10杯を空けるよう強要され、結果、人事不省になり病院に運ばれた、とのこと。湖北省では宴席に自分が飼っているイヌまで連れて行き、イヌのために料理を2皿特注した幹部が現れ、さすがに免職になったようです。
公費に関わる権力の乱用は、中国名物“乱収費”による費用捻出から、近親者を幽霊職員にして給与を不法に取得する手口まで様々です。また自分の権力を利用して近親者にビジネスを委託して蓄財する手口は「やらないほうが珍しい」との極言も。しかし、1年ほど前、衛生部が<衛生部門指導幹部利益衝突防止に関する若干の規定>を発し、指導幹部の配偶者・子女及びその配偶者が指導幹部の管轄する地区や業務範囲内で、個人で薬品・医療機器の販売などの営利活動に従事する事を禁じたことは、その実態を雄弁に語っています。
では、政府はこういった現象に対し具体的にどう取り組んでいるのでしょうか。既に2012年2月に、財政部は2012年の政府買い付けにおける高級品購入を厳しく規制する方針を打ち出し、党の中央紀律検査委員会も<中国共産党党員指導幹部廉潔執政若干規則>を配布し、綱紀粛正を呼びかけました。2012年7月、国務院は中国で初めて機関事務管理活動を規制する行政法規として<機関事務管理条例>を公布、10月1日から施行しました。この中では、“三公経費”を重点にしつつ、勤倹の原則を掲げ、機関の運営経費・資産・職務管理などの基本的な制度を明らかにしています。過剰接待についても、8月に財政部が「地方は中央機関の人員を過剰接待してはならない」という通知を出しました。
こういった動きは出版物にも見られます。2012年、人民日報社からは『新時期共産党員修養談話シリーズ』が、北京聨合出版社からは『官徳』(梁衡著)が、中国方正出版社からは『指導幹部廉潔執政教育読本』がそれぞれ出版されましたが、その意図は明白でしょう。

三瀦先生のコラム