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 第557回広告産業育成と違法広告

(2013年02月18日)

中国の広告業が急成長しています。ここ数年、毎年30%以上の成長率を示し、第11次5か年計画終了時(2010年時点)では年間営業額が2000億元を突破しました。それでもGDPに占める割合は先進国の2%に比べまだ0.6%ですから、本格的な発展はこれからとも言えます。2011年、政府は第12次5か年計画期間中に広告産業十大パークを建設して有力100社を重点的に育成、広告協会には広告専門技術者技能評価テストを行い、評価システムを整備するよう指導する方針を示し、同年に発布された国家発展改革委員会による「産業構造調整目録」には、広告に関わる各種産業が奨励類に初めて組み込まれました。 
こういった方針を受け、中国最大の広告市場北京市は、広告業の国際競争力を高めるため、投融資ルート、優遇税制の整備など13の方面にわたる支援措置を盛り込んだ<北京市広告業発展促進に関する意見>を出し、2011年11月には国家工商総局と戦略的協力協定に調印、毎年1億元を投じて広告業の発展を推進するとともに、明くる2012年5月、朝陽区に総面積42.5平方メートルの北京市広告産業モデル区を正式に開園しました。今後、全国広告商品取引センター、広告産業公共サービスセンター、広告産革新発展センター、広告産業人材育成センター、優秀広告企業集積センターという“5つのセンター”の設置が予定されています。
この一方で広告の質も問題視されています。ここ数年、政府は違法広告の取り締まりを強化、違反したメディアやメーカーの名前を次々と公開していますが、焼け石に水。特に“三品” と呼ばれる [薬品、保険食品、化粧品] の広告が問題になっています。2012年に大きく取り上げられたのが碧生源社の常潤茶広告問題。年間売り上げの30%、実に2億元を広告につぎ込み、テレビ・ネットなどあらゆる広告手段に訴え、株式上場前に23回も違反広告を摘発されて広東省ではブラックリストに掲載されたにもかかわらず、2011年には13.7億袋を売り上げました。実は食品薬品監督管理部門は監督管理権しかなく、処罰権は工商部門という縦割り行政で、取締っても効果が上がらないのです。
20112年、政府は<マスメディア広告掲載審査規定>を発布し、厳格な審査規定を定めました。各メディアには広告審査員の常設が求められ、広告経営管理部門の責任者には再チェックが義務付けられました。新システムが実効性を確保できるかどうか、注目されます。

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