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 第558回中国自動車業界の再編と動向−その1−

(2013年02月22日)

2013年1月22日、工業と情報化部、国家発展改革委員会、財政部など12部門連盟による<重点産業企業の合併再編を一層促進することに関する意見>が出されました。まえがきによれば、これは第12次5か年計画、<企業の合併再編を促進することに関する国務院の意見>(2010年)、<工業のモデルチェンジ・グレードアッププラン(2011-2015)>(2011年)などが、自動車・鉄鋼・セメント・船舶・電解アルミ・レアアース・電子情報・医薬といった分野を重点とした企業の合併再編を提起したことに基づくもので、その筆頭に掲げられた自動車の項には、「2015年に完成車企業上位10社の集中率を90%に高め、3〜5社の中心的大型自動車企業グループを形成する」と書かれています。この再編戦略は完成車企業だけでなく、自動車部品製造企業にも適用され、そのうえで両者が長期的な戦略的連携を強めることが期待されています。更にこれをサービス分野に拡大し、ブランド力を高めつつ、関連する開発・買付・物流・金融・情報サービス、ビジネスサービスといった自動車産業サービスシステムを構築すること、こうした改革をベースに積極的に海外に打って出て、M&Aなどによるグローバルな展開を目指すことを奨励しています。
2012年の中国自動車市場は、新車の販売台数が前年比4.3%増の1930.64万台に止まりました。4年連続世界一位とはいうものの、2.5%増にとどまった2011年に続く低増加率で、自動車需要は「微増」時代に入った、という見解が目につきます。そこで問題になるのが、一方で積極的に進められている生産力の増強とのギャップです。フォルクスワーゲン、GM、フォードをはじめとする欧米系企業、日産や現代といったアジア系企業、そして吉利、長城といった中国企業が次々と新工場を計画する中、「このままでは2015年には、2012年のアメリカの需要1499万台をそっくり賄えるほどの生産過剰になる」との推測も。そうなれば、強力な淘汰のあらしが吹き荒れるのは必定で、その中で中国企業がどう生き抜くのか、生き抜けるのかは差し迫った大問題になっているのです。
その対策の第一が上述の再編です。中国の自動車業界の問題点は“小・弱・散”が特徴、2012年時点で完成自動車製造企業171社、バイク120社、専用車900社余り、オート三輪など低速貨物車135社など1300社を数え、経営難に苦しむ企業も少なくありません。

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