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 第569回党の新布陣について

(2013年05月13日)

2012年秋の党18全大会、2013年春の12期全人代で新しい党と国家・政府の布陣が決まった。その陣容について現時点で一応の総括をしておこう。
最高指導層、党政治局常務委員が9名から7名になり、習近平と李克強以外(胡錦濤・呉邦国・温家宝・賈慶林・李長春・賀国強・周永康)は退任、新布陣は習近平60歳・李克強57歳・張徳江66歳・兪正声67歳・劉雲山65歳・王岐山64歳・張高麗66歳となった。
5年後の2017年党19全大会では、また習近平と李克強以外は68歳の定退ラインに引っ掛かり、入れ替えとなる。胡錦濤派(共青団派)は、確実と言われた李源潮 62歳とボーダー上だった劉延東 67歳・汪 洋58歳が選に漏れたが、李源潮・汪 洋は5年後も定退ラインを越えず、選出される可能性がある。今回の人事が江沢民を完全引退に追い込むためであり、そのため、胡錦濤も完全引退し、党政治局常務委員に江沢民に近い人物でしかも5年後には引退する人物、張徳江・兪正声・張高麗などを優先して就け、花道を飾らせたという憶測も可能だろう。兪正声・張高麗はそれぞれ江沢民のおひざ元機械工業閥、曽慶紅のおひざ元石油工業閥の利益代表としての顔も持つ。劉雲山は両派に通じるところがあるが、李長春が牛耳っていた党宣伝部の後継者であり、政法部門が周永康と薄熙来の関係で地盤沈下した部分を補う形になっている。王岐山については、太子党という分類だけでは済まされない。党内きっての金融・マクロ経済通であり、国際的にも信頼は高いが、李克強と経済政策に関して議論が分かれる可能性もある。一方、与えられた党中央規律検査委員会書記という肩書が深刻な党の腐敗問題にどう絡むか、も注目される。25人の政治局員では、新任が15人で、共青団派からは第6世代のホープと喧伝されている胡春華と劉奇葆が新たに加わったが、周強は選に漏れた。共青団派以外では、胡春華のライバルと目されている孫政才が入った。
胡錦濤が今回の人事に関し、党の重要事項を江沢民に報告する、という内部規定を廃止させ、長老の容喙を阻止し、引退期限の厳守も明確にしたことは大いに評価されるべきだろう。
また、今回の人事で中央軍事委員会主席も習近平に譲った一方、許其亮・范長龍という胡錦涛直系の2名を中央軍事委員会副主席に抜擢したこと、許其亮が空軍出身であることも、注目に値する。

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