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 第586回 2012-2013労働問題あれこれ

(2013年09月09日)

地方市で実際に機能している労働仲裁機構は全体の60%、県クラスでは40%という状況の下、労働問題が多発し、政府は2012年9月に<労働人事争議処理効能建設強化に関する意見>を通達、2015年までに、全ての県以上で労働争議仲裁院などの機構を整備するよう求めました。各地域でも様々な対応が始まり、河南省は鄭州市中級人民法院に省内初の労働者権益保護審判法廷を設け、北京市は90%以上の街道に労働監察員を配置、江蘇省蘇州市は市・県・郷各行政レベルに労働争議調停組織を設けました。また、同年12月に全人代常務委員会で採択された修訂<中華人民共和国契約法>では、問題発生の温床である労務派遣業者に規制の輪を被せ、「資本金200万元以上(従来は50万元)、固定された営業所、労働行政部門の経営許可、“同工同酬”の原則遵守」「労務派遣はあくまで補充形式で、臨時的、補助的代替的な仕事に限る」などを盛り込み、2013年7月1日から施行しました。
近年多発している主な問題は、まず第一に給料の欠配遅配。最近ではカードを使った支払い方法も試みられ、一定の効果を挙げていますが、多くの流動性が高い短期労働者がその網から漏れてしまっています。2012年春の全人代政府工作報告で強調された有給休暇制度の実行は父母への孝養を奨励する“探亲假”(里帰り休暇)の継続問題と絡み、議論を呼びましたが、一番の問題は有給休暇を取ると睨まれるという有形無形のプレッシャーでしょう。2013年2月、国務院は<国民観光レジャー綱要(2013-2020)>を公布、2020年には有給休暇制度を定着させ、小中学校の春休み秋休みも検討すると表明しました。
労働争議の主要原因の一つが給与の額。所得格差是正のため、2010年から3年連続して最低賃金が20%以上引き上げられました。2012年初頭に出された、就職促進に関する初めての国家プランでは、第12次5カ年計画期間中にノーマルな賃金上昇システムを構築し、最低賃金を年平均13%引き上げ、ほとんどすべての地域で同地の平均賃金の40%をクリアする目標を掲げています。ただ、全国的にこのペースを続けた場合、地域によっては企業の投資意欲を削ぎ、李克強首相が掲げる都市化の推進にも水を差しかねません。これらの難題をクリアするためにも、既に2011年時点で一億人の勤労者をカバーしたという労使による給与合議制が実際に円滑に機能するか、注目されます。

三瀦先生のコラム