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 第600回 18期3中全会-その1-国有企業改革

(2013年12月24日)

2013年11月12日、18期三中全会で<全面的に改革を深化させる上での若干の問題に関する中共中央の決定>が採択されました。その中で懸案の国有企業改革がどう盛り込まれたかを見てみましょう。
経済のモデルチェンジのネックと言われて久しく、また、2008年のリーマンショックに対する緊急対策で焼け太りした国有企業改革への取り組みですが、第2章では相変わらず「国有経済が主体的地位を占め、主導的役割を発揮し、非公有制経済の発展をリードすること」が謳われ、この点はこれまでと大きな変化がありませんでした。
その一方で、国有経済と他の所有制経済の財産権や合法的権益は平等に守られるべきだとし、従業員の株式の保有や国有資本投資プロジェクトへの民間資本の参加による混合所有型経済の発展が積極的に奨励されました。加えて市場化の手に委ねるには国有企業の現代化が必要だとして、公平と競争、経営効率の向上、社会的責任の分担など一層の改革を進めること、国有資本の公益性を重視、国庫納付金の比率を従来の20%以下、平均10%前後から2020年には30%に引き上げることを示唆しました。また、資金投入はより公益性の高い分野に重点を置くべきだとして、国有企業の特定産業分野の独占を打破すべく、行政との分離や公共資源の配置の市場化なども提唱、コーポレートガバナンスの健全化、人事・給与システムの適正化、財務情報の公開も明記されました。民衆の批判の的だった経営層の法外な給与額の是正も書き込まれています。
これら、避けて通れない改革の方向はすでに大方の認めるところですが、問題は具体的な取り組みの明示が少なく、アクションプログラムや数値目標も十分というには程遠く、「概念的なお題目に過ぎない」とか、「抵抗勢力が根強いことを窺わせる」といった論評もあります。コミュニケ発表後、香港や上海の証券市場で大型国有企業の株価が一斉に下落したのは、その証左とも言えましょう。
非公有制経済の発展については、イノベーションの促進、雇用の拡大、税収増に期待を寄せ、公有制経済との権利・機会・規則各面での平等化、非公有制経済に不利な規定の撤廃、目に見えぬ障壁の除去を謳っていますが、その叙述は国有企業の半分もありませんでした。 

三瀦先生のコラム