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 第六十一回  牛乳産業の発展

 中国で牛乳の普及が声高に叫ばれ始めたのは、90年代末期。そのきっかけは中国の児童の発育が劣っていること。WHOの基準に照らし、1〜6才で、大都市でさえ 身長で1cm、体重で0.8kg劣っている、という報告もあり、手始めとして、北京、天津、上海、広州、瀋陽が学生牛乳飲用計画実験モデル地区に選ばれました。1999年、国務院は、政府、企業、学校が一体となって強力に牛乳飲用計画を推進する方針を建て、<国家"学生牛乳飲用計画"実施に関する通知> <同実施方案><同暫定管理規定>を矢継ぎ早に打ち出し、また、専門の担当機関として、国家"学生牛乳飲用計画"省庁間連絡協議機関を設置しました。
  生徒たちに、安定して、安全な牛乳を大量に供給するには、まず、関連優良企業を育成しなければなりません。そこで、2001年2月、<学生牛乳定点生産企業申請認定暫定規定>が出され、日量50トン以上の新鮮な牛乳を安定して供給できること、衛生的な機械設備、温度管理のできる貯蔵、輸送設備を完備することなどが条件付けられました。
 瀋陽市には100万人の小中学生がいます。同市では、瀋陽乳業有限責任会社が定点生産企業に選ばれました。スウェ−デンやアメリカから導入された最新の生産ラインを持つ同社は、7000頭の乳牛を擁し、日産20万トン、10万人の学生に牛乳を提供し ています。当然のこととして同市の酪農は急速に発展し始め、以前数千頭しかいなかった乳牛が3万頭に達し、今後の需要は11万頭にも達するといわれています。
 いま、全国では乳牛の飼育が盛んになっており、特に北方地区や、都市郊外の農民にとっては、新しい有望な産業になって、農民の収入増に大きく貢献し始めていま す。内モンゴルの呼和浩特(フフホト)市は"中国乳都"を目指す、と宣言しました。 2001年現在で、中国の乳牛数は566万頭、総生産量は1122万トンに達しています。 しかし、一人当たりの年間消費量は世界平均の100kgに対しまだわずか8kgしか ありません。一層の技術革新が叫ばれる中、国は、2002年10月、第10次5カ年計画中に4億元の研究資金を投入し、全国に8箇所の近代的な模範生産基地を設けることを発表しました。中国の乳業の前途はまさに洋々と言えましょう。

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