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 第六十五回  小康社会

<全面的な"小康"社会を建設し、中国の特色ある社会主義事業の新しい局面を切り開こう>と題した2002年の中国共産党16全大会報告の中で江沢民は「都市と農村の住民の収入は着実に増加し、市場は繁栄、商品の供給も十分で、住民の生活の質は向上し」「人民の生活は、全体としては"小康"レベルに到達した」と述べました。
"小康社会"とは衣食を確保できる最低限度の生活レベルと豊かな生活との中間ステップを指し、1979年、鄧小平が大平外相に「20世紀末までにGNPを4倍にして平均一人当たり800ドルの"小康社会"を実現したい。」と述べたのが最初でした。
1991年、政府は"小康社会"について具体的に16の指標を作成しました。即ち ①GDP/人:2500元 ②都市住民の可処分所得/人:2400元 ③農民の純収入/人: 1200元 ④都市の住宅使用面積/人:12㎡ ⑤農村鉄筋木造住宅使用面積/人:15㎡  ⑥蛋白質1日摂取量/人:75g ⑦都市舗装道路面積/人:8㎡ ⑧農村の公共自動車道路開通行政村比率:85% ⑨エンゲル係数:50% ⑩成人識字率:85% ⑪平均寿命 :70歳 ⑫嬰児死亡率:3.1% ⑬教育娯楽支出の割合:11% ⑭テレビ普及率:100 % ⑮森林被覆率:15% ⑯農村基礎衛生保険レベル合格県;100%
 この指標に照らすと、1990年時点では達成率48%でしたが、2000年には96%にまで上昇しました。ただ、地域差が大きく、例えばGDPは上海の4000ドルに対し貴州省は 300ドルあまりにすぎず、上記⑯でも、東部はほぼ100%、中部は78%、西部は56%と 大きな落差があります。都市化率が2001年時点で37.7%、しかも都市と農村の住民の 所得比率は3:1という数字からも、都市化の推進が急務であり、また、GDPの3分の1に過ぎない第3次産業の発展も急がれます。
 江沢民は今回の報告の中で、2020年にはGDPを現在の4倍、一人当たり3000ドル以上にするという目標を掲げました。そのためには今後も年平均7.18%の経済成長が求められますが、江沢民報告に盛られた、社会保障の充実、民主と法制の強化、道徳、 科学、文化、医療のバランスの取れた発展や、取り残されがちな農村への効果的な対策があってこそ、初めて全面的な"小康社会"が実現するといえましょう。

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