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 第652回 緑化と林業の現状−その1−

(2015年01月13日)

毎年春に中国を襲う砂嵐・土壌の流出・水不足といった環境問題を解決するには国土の緑化が先決。砂漠化が迫っている北京市では1982年に市を挙げて緑化運動を始め、33年間で1億9300万株を植え、森林被覆率は12.83%から40%に改善されましたが、同市では更に、“两园、两线、三带、五区”と呼ばれる12ヶ所の重点都市森林地区を建設する<平原地区百万ムー造林プロジェクト>を近年精力的に進め、北京農業銀行支店から21.3億元の資金援助を獲得、2014年だけで36万ムーの造林に取り組みました。この種の緑化は全国で繰り広げられており、河北省廊坊市は2014年4月までの2年間で森林面積が百万ムー増加、河北省衡水市は同8月までに第12次5カ年計画達成目標の「市民一人当たり1ムーの林」を繰り上げ達成した、と報じられました。上海市も2014-15年の2年間で森林を18.25万ムー増やし、被覆率を15%にする計画です。
2014年2月に国家林業局が発表した<第8次全国森林資源精査結果>によると、全国の森林面積は2.08億ha、被覆率は21.63%で、2008年調査の1.95億ha、20.36%に比べ確かに増加しています。用途別でみると、防護林が最も多く、48%を占め、続いて用材林が33%、経済林10%などとなっています。近年の植林による成果を如実に示すのが樹齢で、面積で見ると、幼齢林が最も多く33%、次いで中齢林32%、中熟林16%、成熟林13%、過熟林6%となっており、幼齢林と中齢林で65%を占めています。中国は国際社会に、2020年までに森林面積を2005年比で4000万ha、森林蓄積量も13億㎥増やす事を公約しており、また、国としても46.8億ムーを守るべきレッドラインとし、2050年の被覆率26%以上を目指して、毎年国全体で9000万ムーの植林を行っています。
以上のデータから見ると、近年の取り組みにより森林が減少期から増加期に入っていることは明らかです。耕地を林に戻す“退耕还林”プロジェクトが実施されて14年、投資された資金は3541億元、国が下部組織に命じた造林任務は4億4728.7万ムーに達しました。2014年9月に<退耕还林工程生态效益监测国家报告(2013)>が公表されましたが、森林の全体量もまだ不足しているうえに、地域分布におけるアンバランス、植林樹木の種別構造と質の問題など、解決すべき問題は少なくありません。この続きは次回に。        

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