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 第六十六回  保険業の新展開-その1-

 中国における初期の保険業の発展は、国有企業改革や行政改革と表裏をなすものだったと言えましょう。WTO加盟に伴う強力な外資企業との競争を勝ち抜くには、国有企業の非効率性の是正が急務ですが、それには、余剰人員の整理、退職者の老後の保障や医療負担からの解放がどうしても必要でした。しかし、それらを断行するには、失業保険や労働市場、年金制度や養老保険、更には医療保険などの受け皿整備が欠かせません。
 行政改革でも、膨大な人件費の削減と、一方で公務員給与の引き上げによる待遇改善が急務となり、リストラが断行されましたが、ここでも受け皿が必要となりました。
 老後の保障には、中国ならではの別の事情もあります。中国の人口に占める60歳 以上の老人は現在既に総人口の1割前後、2050年には22%を超えると予測されています。政府、企業、個人が三位一体となってどのような社会保障体系を構築する かが差し迫った問題ですが、その中で商業保険の整備が重要な課題となって浮上しているのです。生命保険分野は、今後年平均10〜20%の割合で成長し、2025年には、総収入が3兆元(GDPの6.8%)に達すると言われる有望市場となっています。
 中国保険業は2002年の総収入が前年比50%以上の増加となり、全54社の総資 産は6000億元に達していますが、急速に発展する経済と急激に変化する社会環境と庶民生活は様々な分野の保険ニ−ズを開拓しています。最近急成長中の自動車保険はその1例ですし、企業活動が盛んになるにつれ、企業経営者や役員の責任保険も登 場しました。また、農村では、農業保険の内容整備と顧客へのサービス向上を求める 声も高まっています。
 こういった情勢に対応するため、2002年秋の全人代常務委員会で、"中国保険監督会が、保険会社に対する監督機関として、企業の償還能力をチェックし、違法行為 は厳しく取り締まる。被保険者の合法的な権利(プライバシ−など)の保護。保険資 金運用禁止規定の改定"などを重点とした新<保険法>が採択され、2003年1月1日から施行されました。今、中国保険業界がどういう変化を遂げているのか、外資との提携、各保険分野の状況、サ−ビス内容の変化などは次回に詳しくご紹介しましょう。

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