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 第667回 起業促進急ピッチ−その1—

(2015年04月27日)

2年前(2012年)に2回連続で起業について書きました。2008年のリーマンショックの影響で2009年に就職できなかった卒業生に2010年は新卒者が重なるため、同年4月以降、政府は<起業誘導計画>を立てるなど様々な手を打ちましたので、それを紹介するのが目的でした。あれから2年、大卒者の起業はうまくいっているのでしょうか。
就職難を自力で補ってもらうことが起業を奨励する主な理由だった前回と比べ、2014年に巻き起こった起業奨励の波は異なる要素が加わっています。その第一は、習近平政権が提示したGDP成長率7%前後が攻防ラインになりつつある“新常態”に対処し、技術やビジネススタイルのイノベーションで更なる発展のための新しいエンジンを創出しようという政策には、“創客”と言われるような、柔軟な頭脳と若々しいアイデアに富んだ、そしてそれを具体化する意欲を具えたクリエーター、そして起業家の育成が欠かせないからです。
また、大卒者の就職難の原因として常々提起されているのが、経済成長維持のためインフラ整備に厖大な資金を投入してきたため、肉体労働者については“用工難”(労働者不足)が発生、一方、その分、資金投入が不足しているサービス業の緩慢な発展が高学歴の大卒者の“就業難”(就職難) を同時に発生させている、という現状です。この面でも新しい頭脳と活力による起業が欠かせません。
2014年の大卒者は727万人と史上最高の規模に達しています。しかし、国が度々奨励策を打ち出しているにもかかわらず、全国の大学卒業生の起業率は2%にも満たず、更に成功率となるとその10%ほど、学生起業者数で見ると5%にしかなりません。
2014年5月、国は国家発展改革委員会・教育部・科学技術部・工業と情報化部・財政部・人民銀行・工商総局・共産主義青年団と、9部門が合同して<大学生創業指導計画>を立ち上げ、2014年—2017年に80万人の大学生に起業させる、という目標を打ち出し、2015年4月には1年間の実施状況を踏まえ、更に深く具体的な方策を講ずる方針を打ち出しました。
これまで15年間続いてきた「“挑戦杯”大学生創業計画競賽」も、2014年から「“創青春”全国大学生創業大賽」にグレードアップ、党や政府の6部門が主宰することになり、全国から10万件の応募がありましたが、起業促進の前途はいまだ多難。詳しくは次回に。

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