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 第676回 整備が進む著作権−その1−

(2015年07月06日)

最高人民法院がネット環境下の著作権保護問題について全国的に調査を開始したのは2009年のこと。同年9月には<ネット上の音楽コンテンツ審査作業の強化と改善に関する文化部の通知>が音楽の違法ダウンロードを禁止、年末には“BT中国連盟”など100社以上の違法ビデオサイトが閉鎖になりました。また、捜狐(SOHU)を中心に「中国オンラインビデオ反海賊版連盟」を設立、「優酷網」の動画503のコンテンツが海賊版だとして、5000万元〜1億元の損害賠償を請求したのもこの年です。
2010年は知財権関係のトラブルの半分以上がネット上の著作権問題で、ネット上の映像作品の海賊版比率は90%以上に達し、デジタル音楽の海賊版被害額が年100億元、ソフト海賊版被害額に至っては年1000億元という状況を踏まえ、最高人民法院は「ネット著作権司法保護司法解釈」の起草作業を開始、その一方で、ネットにおける著作権侵害取り締まり特別活動“剣網行動”を開始、同年3月の「オンラインゲームサイトの管理に関する暫定弁法」ではオンラインゲームサイト運営会社20社を処分、12月の「違法音楽サイトの集中取り締まり、処罰に関する通知」では「好聴音楽網」「QQ163」など237サイトが取り締まり対象になりました。
翌2011年、固定料金でテレビドラマや映画を視聴できるオンライン動画配信サービスへの移行が顕著になり、「捜狐」は3000万元で<新還珠格格>を購入、「優酷網」も2500万元で<傾城雪>を購入するなどドラマや映画の版権価格が高騰し、その結果、国内オンライン動画配信企業は99%が赤字に転落、続々自己制作に転換し始めました。同時に、全国地方人民法院知財権案件民事一審受理件数も前年比42.96%増の59612件に達し、政府の対策も加速化し始めました。同年1月には<知財権審判刑事案件処理における法律適用に関する若干の問題>が出され、刑法第217条に基づきネット上での知財権侵害に対する量刑基準が明確化されるとともに、3月には中国ラジオテレビ協会に放送版権委員会も設置されました。また、9月には北京市海淀区人民法院で、許可なく「新京報」など60社以上の国内の新聞を掲載していたとして、iPadソフト開発商に10万元の賠償を命令する判決が下されました。同年の中国インターネット情報センターの調査では、「携帯でニュースを見る」は携帯使用目的第2位(3.62億人)に達しており、大きな反響を呼びました。その後の動きは次回に。

三瀦先生のコラム