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 第710回 ビッグデータの活用—その2—

(2016年3月7日)

ビッグデータの情報の大部分はインターネットから供給されます。その量は既にビッグデータの85%を突破しており、言い換えれば従来型産業からの供給量は15%にも達しません。また、全情報の90%以上は過去2年間の最新情報で、中国で例えるなら、一日に新規に得られる情報は中国全土の1500の公立図書館の情報量の総和にも匹敵。
この結果、ビッグデータから得られる情報は情報消費を飛躍的に促進し、新しい産業革命の基盤となりつつあります。その応用は商品の設計から最終消費まで全ての過程に及び、これによって企業が市場のニーズに即応した商品を用意する精度は飛躍的に向上します。また、民生・福祉の向上においても同様の効果が期待でき、高齢化・少子化、貧困・教育・医療の格差、就職、大気汚染など様々な社会問題を抱える中国政府が迅速かつ的確な対策を立てる上でこれほど強い味方はありません。
ビッグデータの活用は既に自動車や家電など様々な分野で応用が始まっています。従来の画一的大量生産はもはや通用せず、ビッグデータから得られる多様なニーズに常時即応するオートマティック化された個性的製品生産体制の確立と多様なサービスの提供が求められます。
勿論、こういったビッグデータを活用した産業の発展を促進するには、同時に、データの所有権や使用権の問題、情報の公開非公開の問題など、相応する法整備が必要になります。、電信法やネット法が無い上に厳しい情報統制があり、公権力によって自由に情報操作が行われ得る現状では、金融など分野によってはビッグデータへの信頼が揺るぎかねません。ただ一方で、ビッグデータであるがゆえに小手先の情報操作では隠し切れない実態が明らかになる可能性もあります。
2015年1月、国務院は<クラウドコンピューティングの革新的発展の促進と情報産業の新業態の育成に関する意見>を出し、2020年にはクラウドコンピューティングを中国の情報化の重要な形態、ネット強国建設への重要なサポートとする構想を掲げましたが、このこととビッグデータとは“大智移云”の枠組みの中で緊密に絡み合っています。春節の民族大移動では、バイドウの毎日数十億の地理情報によって人々の動きが手に取るようにわかり、ネットにアクセスすれば最適の移動方法が瞬時にわかるようになりました。ビッグデータは既に人々の生活に欠かせない要素となっています。今後、“数据治国”がどのように発展していくのか注目されます。

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