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 第733回 国内観光の発展−その1−

(2016年8月22日)

90年代後半から発展し始めた中国観光業は、その後の経済発展と近年の中所得層増加により急速に拡大、これに高速道路の整備とマイカーの普及、さらに高速鉄道が長距離列車の半分を超え、地方空港の拡充によって国内航空路も次々と開設されるといった要素も加わり、年々規模が拡大、多様化も進んでいます。一方で、そのスピード故に生じる様々な問題も浮き彫りにされてきており、いかにして消費者の不満をやわらげ、消費者が満足するサービスを実現するかが当面最大の課題になっています。経済成長が踊り場に差しかかっている現在、国内消費は経済を支える重要な柱であり、また、今後の国土地域発展計画のマザープラン<全国主体機能区計画>の中で、生態保護区の住民をどうやって小康生活に導くか、も重要課題です。その切り札として期待されているのが国内観光業です。
国内観光で一番問題になっているのが価格問題。各地で高額な入場料や多くのスポット別個別徴収が問題になっています。それゆえに観光客から敬遠されるケースも多いのですが、杭州の西湖では入場無料で観光客が大幅に増加、街全体が潤ったことも紹介されています。
2015年5月、国家旅游局は「全国観光価格信用観光地区」1801箇所を発表、これらの地区も今後3年間料金を据え置くと公約しました。さらに同年9月には<観光地区入場料特別取締活動に関する通知>を発し、2016年8月までの1年間、政府が料金を決定するか、あるいは料金設定を指導する地区では原則として値上げを認めない方針を打ち出しました。
安い料金で客を募集し、オプションを強制するやり方でぼったくる旅行業者に対する取り締まりを求める声も大きくなっています。2015年には香港や雲南省など各地で類似のケースが問題を引き起こし、その結果、雲南省は、同省内の主要観光ルートにおけるコストを16人以上以下の場合や目的別に分けて発表、注意を促しました。同年10月に中国消費者協会が発表した196人のボランティアによる<国内の一部観光ルート体験調査報告>によると、買い物の強制や消費への誘導が絶えず、ガイドの質もばらつきが大きく、旅行社85社が実施した96の観光ルートの実に74%が深刻な問題(食事、宿泊、交通、観光内容、買い物など)を抱えていた、というのですから、顧客の満足度が極端に低いのも当たり前です。
次回はさらに具体的な対応と観光アイテムの変化を探ってみましょう。

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