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 第756回 社区と医療−その1−

(2017年2月6日)

2年前の2015年1月、国務院常務会議は以下の重点を内容とする<全国医療衛生サービスシステム計画綱要>を採択しました。①行政レベルに応じそれぞれ各種公立病院を設置、県レベルでは各県に総合病院と中医学病院を一箇所設ける。②民間の参入、公立病院の改組への参画などを奨励し、外資との合資、合作条件を緩和する。③優れた医療リソースを科学的に配置し、県レベルの病院の能力を強化し、村衛生室、郷鎮衛生院、社区衛生サービス機関の規準化建設を強化する。④機能分担と分業協力を強化し、末端医療機関は初診・リハビリ・介護などを、公立病院は一般外来診療を分担する。
中国の医療体系は、一つの地域が「三級病院(最高レベル)、二級病院、基層医療衛生機構」のピラミッドで形成されています。末端コミュニティである社区には本来、住民に最も身近な医療サービスを提供することが期待されていますが、そこで診療を受ける住民はわずか。理由の第一は、信頼できる医者の不足で、背景には、医者の育成不足とともに、身分保障の脆弱さ、優秀な医師の出張診療に対する壁があります。更に、治療に必要な基礎的な医薬品の恒常的供給不足、不当な価格、それに輪をかける社区医療に対する医療保険の総額規制などがあり、これらの問題を解決しない限り、いくら改革を叫んでも画餅に帰します。
そこで、2015年4月、国家衛生計画出産委員会は、農村医療の充実及び2020年までに各家庭に必ずホームドクターを、各人に必ず健康カルテと専用カードを、という基本医療衛生サービスの実現を掲げ、以降、社区医療、ホームドクターの整備が鳴り物入りで始まりました。上海では2015年6月までに42%の住民がホームドクターとの契約を結んだことを背景に、社区医療整備により、2020年までには社区での初診から段階的に診療を進めるシステムを構築するという総合改革を始動させました。一方、深圳は全国初の公立病院総合改革プラン実験都市として、医者・看護師・医療技術者などに対する一律的な雇用を廃止し、より多くが公立病院の庇護を離れ、民間病院に行くか個人開業するかなどして社区医療に貢献し、その腕前に応じた報酬を得るよう督促しています。
些細な病気は社区で、大病は病院へ、リハビリは又社区で、というシステムへ向けた努力はその後、現在までの1年半に急速な進展を見せていますが、それはまた次回に。

三瀦先生のコラム