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 第758回 信用確立への取り組み

(2017年2月20日)

列車がトンネル内に長時間立ち往生しても乗客は暗闇にほったらかし、航空会社は利益確保に意図的オーバーブッキング、クリーニング店ではいい加減な洗浄や衣服の破損が頻繁に発生、北京の簡易ホテルではタオルで床や便器を拭いたり、洗浄を委託されたクリーニング業者が血や吐瀉物と一緒にタオルを洗浄。予約タクシーに乗り、ネット上でマイナス評価をしたら運転手に脅迫された、と言ったマイナス評価をつけたら脅される話、極めつけは百度の不正医療広告問題で、20数万元を投じて、結果として命を失った大学生の件は百度の屋台骨を揺るがす大問題になりました。
こうした商業モラルの欠如は経済の活性化を図る上でも障害になります。そこで政府は社会における信用システムの構築に正面から取り組み始め、1年ほど前の2016年1月、発展改革委・最高裁・人民銀行など44部門が<信用喪失被執行者に対する連合懲戒処分実施に関する協力備忘録>に調印、55項目の懲戒措置を発表しました。すでに最高人民法院は2013年に<信用喪失被執行者リスト公表に関する若干の規定>を発表し、2015年までに308万を超える人名を公表していますが、それをさらに強化しようというものです。2016年以降、この動きはさらに加速、国務院は6月に<信用順守を連合して激励し信用喪失を連合して懲戒する制度を確立し、社会の信用制度建設を加速推進することに関する指導意見>を、8月には<政府部門企業関係情報統一集約公示活動実施方案>を公布し、消費者や市場が企業に関する様々な行政許可や行政処罰に関する情報を素早く広範囲に取得できるようにしました。
これにより、信用順守に対して様々な優遇措置が講じられるようになってきています。同年7月には発展改革委など29部門が<納税信用A級納税者に連合激励措置を実施することに関する協力備忘録>に調印、9月からは、信用度により輸出税還付に差をつける<輸出税還付(免除)企業分類管理規則>も施行されました。こうした動きに合わせ、各地で関連立法が成立、また、中小企業への融資にも活用されています。ブラックリストに載せられたことで飛行機にも新幹線にも乗れず、商売あがったりで、出稼ぎ労働者の給与の支払いにやっと応じた、という企業の事例も報告されていますが、ブラックリスト削除代行業者に削除を依頼して騙された、といういかにも中国らしい事例も報告されています。

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