Last Update:2017/7/3
 
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コラム 「現代中国放大鏡」

 第777回 民法典の整備−その2− 

(2017年7月3日)

   どんなケースが現行法律で処理し難いのでしょうか。具体的な編纂が始まった2015年の5月6日掲載の人民日報記事<民法典は中国の土壌から生長すべき>は、従来の法的不備についてかなり詳細な分析を加えています。その前年2014年5月、江蘇省宜興市人民法院が、国内初の人間冷凍受精卵の所有権帰属について、相続の範疇に入らないことを理由に原告の訴えを退け、二審では同省無錫市中級人民法院が原判決を破棄、父母双方の共同管理に置く判決を下しました。この案件について同記事は「体外受精卵の保管や処置、胎児の利益保護、ネット上のバーチャル財産権、商業上の秘密、死者の人格的利益などでは、法律上の空白が裁判に影響しており、民法総則の策定によって解決すべきだ」との、中国法学会民法編纂プロジェクト指導小組副組長、王利明中国人民大学副校長の談話を紹介しています。
   同記事ではまた、同小組秘書長、中国人民大学法学院王軼教授の、「<専門家提案稿>を作成した時、我々は中華の法律文化の精華をしっかりくみ取り、国外の有益な法治経験を参考にしつつも、決して他国の法典をコピーすることはしていない」という言葉を紹介し、“個体商工戸”(個体企業経営戸)、“農村承包経営戸”(農村経営請負戸)などは、改革開放以来、市場経済の中で活発に活動した重要な主体であり、“大衆創新、万衆創新”(国民誰もがイノベーション)という新時代においても大きな役割を果たすだろう。<専門家提案稿>は“農村承包経営戸”の雇用権利や“農村承包経営戸”の債務負担方式を明確にして保護を強化している、と解説しています。また、中国では高齢者人口が年800万人以上増加し、すでに2億人を超え、老人に対する様々なケアも問題になっており、編纂委員の山東大学法学院郭明瑞教授は、現行の民法通則には、未成年者や精神業患者に対する介護しか規定されておらず、法的サポートがないことによって養老問題を混迷させている、と指摘しています。
   2016年3月11日の「民法総則、極力年内に審議採択」という記事では、全人代内務司法委員会の王勝明副主任委員が慈善法の策定問題を取り上げています。それというのも、近年慈善事業が急速に発展する一方で、情報の非公開、杜撰な事前財産管理によって不祥事が多発しているからです。このほか、ネットビジネスや環境汚染問題など、法的空白を埋める作業はすでに待ったなしの状態です。


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