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 第803回 貿易の現状と課題—その3—

(2018年1月18日)

2016年に入ると、政府はよりテーマを絞った具体的な方針を打ち出し始めます。同年1月、国務院は<加工貿易の革新的発展促進に関する若干の意見>を通達、綱領的文献として位置づけました。その目標は国際的に分業が進む中で「中国製造2025《の目標達成に向け、加工貿易の国情に合った革新的発展を図ろうというものです。具体的には①製品の技術的価値、付加価値を高め、ハイエンドな商品の輸出へ ②生産チェーンを拡大し、生産製造とサービス貿易の融合した発展へ ③従来の加工組立型企業から技術・ブランド・営業販売型企業へ ④国内各地域、とりわけ東西地域の協調発展による合理的な発展を実現 ⑤成長の原動力を要素的な原動力からイノベーション的な原動力へ転換 で、2015年に出された<意見>を踏まえていることは一目瞭然です。
これに基づき、同年2月、国務院は、天津・威海・上海・杭州・蘇州・武漢・広州・深圳・海南・成都の各都市と、ハルビン新区・江北新区・両江新区・貴安新区・西咸新区を2年を期限としてサービス貿易の革新的発展のテスト地区とすることに同意、取り組むべき8項目の具体的内容を提示しています。そこには、認定を受けた先進技術型サービス企業に対する所得税減免措置、給与額の8%以下の従業員教育費用に対する事前控除といった類の税制上の優遇措置や、供給チェーンの構築、M&A、中小サービス企業などに対する融資提供も組み込まれました。
2016年5月、国務院は<対外貿易の回復安定発展に関する若干の意見>を発し、5方面(①財政税制金融面でのサポート ②対外貿易における従来型産業の優位性の強化 ③対外貿易における新規の優位性の育成 ④対外貿易構造の最適化 ⑤対外貿易環境の改善)に渡る14の政策を打ち出しました。これは上記の各<意見>を土台にさらに具体的、詳細な政策内容に踏み込んだもので、②では財政・土地・金融政策を総動員して加工貿易の国内中西部への移転促進とそれによって生じた土地資源を商業・観光・シルバー産業に振り向けることが、また③では、国際的な営業ネットワークの構築、国際的なブランドの育成が、④では越境ECの拡大や先進的設備や技術の輸入サポートなどもうたわれています。個別の産業の貿易動向については紙面が尽きたのでまたの機会に。

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