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 第805回 長江経済ベルトの進展状況

(2018年2月1日)

2015.9.28の本コラム第688号で長江経済帯について書きましたが、一帯一路・京津冀協同発展とともに三大地域戦略と称されるこのプロジェクトはその後の2年間でどういう経過をたどったのでしょうか。
688号でも触れた中流域都市群について国務院は2015年4月に<長江中流都市群発展プラン>を承認しました。これは<国家新型都市化プラン(2014-2020年)>に沿って打ち出された全国初の広域都市群プランであり、武漢都市群、環長株潭都市群、環鄱陽湖都市群を主要部分とした超大型都市群で、相互間の交通や水利・エネルギー・情報などインフラの共有と融通、産業の協力発展、自然保護の協力など6つの重大任務を掲げています。
2015年後半に入ると具体的な動きが活発化します。同年6月、中流域6省市(四川・重慶・雲南・貴州・湖北・湖南)が税関係業務における一本化による簡素化・情報共有といった協力を進める協定を取り交わしました。また、10月には長江経済帯一体化指数なるものが初めて発表されました。9省2市の地級以上の都市110を対象に復旦大学の長江経済帯研究院が算出するデータです。同月、47の国家レベル産業パークが会員となった長江流域産業パーク協力連盟が上海に設立されました。こうしたハイテク基地が中心になって長江ベルトにおける輻射・牽引の役割に先鞭をつけようというものです。
2016年1月5日、習近平は重慶で長江経済帯発展推進座談会を開催、「自然保護を優先した緑色発展の道を歩んで、その経済的社会的効果をも十分発揮し、中華民族の母なる河の活力を永遠に保持しよう」と呼びかけました。これがきっかけとなり、2016年は春の全人代を皮切りに長江経済帯発展推進の機運が急速に盛り上がりました。2017年1月5日、人民日報は同座談会一周年に当たり、1年間を振り返る記事を掲載、過去、生産・生活・生態という長江の持つ三つの機能の中で最も疎かにされていた生態について、それを補う努力が払われたと同時に、下流域の富裕に比べ取り残されていた上中流地域の急速な産業発展ぶりを紹介しました。2016年3月、南昌・武漢・長沙・合肥の4省都が協力して長江中流都市群の水陸空交通ルート大幅整備について合意しました。それぞれ具体的な大型整備プロジェクトが目白押しで、完成の暁には更なる一体化が急速に進むものと期待されます。

三瀦先生のコラム