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 第823回 大学教育の変貌—その1—

(2018年6月14日)

 2015年6月1日、修正高等教育法が施行されましたが、中国はここ数年、高等教育の充実に向け様々な改革に取り組んでいます。
その2カ月前の4月、教育部は中国発の<中国高等教育の質に関する報告>を公表しました。それによると、第12次5カ年計画最終年の2015年時点で高等教育在学生数は世界一の3700万人、大学進学率は40%を超え、国家教育規劃綱要が目標として掲げていた「2020年には40%達成」という目標数値を5年早く繰り上げ達成しました。これは中・高所得国家の平均値をも上回っています。勿論、中国は広いので、全国が平均して40%越え、というわけにはなかなか行きませんが、そういった中で、相対的に立ち遅れている地域からの大学入学者を少しでも増やし、将来へ向けて地域に人材を供給しようという努力も続けられており、重点大学の貧困地区農村学生受け入れ数は2015年、7万5000名に達し、一級行政区レベルでの大学合格比率は、最低でも全国平均との差が5%以内に抑制されました。
その一方で同報告は中国の高等教育が抱える問題として“四不够,一不高”を挙げています。「四つの不十分」とは①専門学科の設置が不適切で科学研究レベルや成果の応用が不十分なこと ②イノベーション人材の育成、起業の奨励が不十分なこと ③相応した質の高い教師の育成が不十分で、量から質への転換が不十分なこと ④研究重視・教育力軽視など教師に対する評価に問題がある事 であり、「一つの低い」とは、学業と就職との連携度が低く、インターンシップなどが十分でないことを指しています。
こういった中、2017年6月の大学入試から新しい入試体制が全面的に始まりました。中国の大学入試改革は、2014年の<入試制度改革の深化に関する国務院の意見>に基づいて一歩ずつ進められ、同年には省別の出題と全国統一問題の調整が図られ、2015年に7つの省で全国統一問題のスムーズな導入が実現、翌2016年には26の一級行政区が統一問題を使用、2017年に至って「分類試験、総合評価、多元的選抜」という方針の下、全面的な実施が実現しました。2020年には中国独自の近代的入試制度の確立を標榜する政府にとって、これが大きなマイルドストーンであることは間違いありません。ではこういった改革を通して中国政府はどんな新しい大学像を描いているのか、その理念と取組については次回に

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