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第842回 文化産業振興-その2-

(2018年10月25日)

こうした中で最近とみにその名を聞くのが「華僑城集団」。国務院国有資産監督管理委員会直属で、様々なテーマパークを手掛けつつ、PPP方式で全国的に新しい城鎮を建設中で、文化と観光と都市化、観光とネットと金融を結び付けたモデルを展開しつつ、2016年5月には、伝統的民俗文化を柱とした特色ある小規模な鎮を造ることを目的とした<美しい郷村100カ村計画>を提唱、「起業を奨励、農民も豊かにすることを目指す」と謳いました。

同集団は当初、広東省・四川省などで多くの都市化プロジェクトに取り組み、また、雲南省・海南省等の観光が盛んな省にも多くの投資をし、観光開発を全面的にバックアップしました。同集団は2020年に利用者延べ1憶人を見込んでいますが、反面、土地絡みの急激な都市化と観光化は、投機の助長や文化破壊という本来の趣旨とは真逆の効果をもたらす危険もあり、テーマパーク建設同様、長期的な発展をどう確保するかが問われるでしょう。
中国における従来の文化産業投資は、3~5年で元を取ろうという短期的なものがほとんどでしたが、文化産業には、育てつつ収益を、という長期的な視野が不可欠。埋もれている文化の再発見や、ニーズを掘り起こす創造的かつ新しい観光・娯楽スタイルの開発も欠かせません。その意味では、2016年3月に初の国家レベル民族音楽文化産業研究機構として、中国民間文芸家協会民族音楽文化産業研究委員会が成立したことは注目に値します。ちょうどその頃、国務院が<文化文物単位文化創意産品開発に関する若干の意見>を出して博物館・美術館・図書館などに文化的商品の開発を促し、その一方で<文化市場総合法執行改革に関する意見>を出して市場の整備に乗り出したのは、上記の方向と軌を一にしています。
2017年3月1日、<中華人民共和国公共文化服務保障法>が施行されました。その第二条では、「本法で言う公共文化サービスとは政府が主導し、民間パワーが参画し、公民の基本的文化ニーズを満足させることを目的として提供されるもの」と定義しています。その一方で、2017年5月に出された<文化領域産業組織建設に関する指導意見>では、「文化領域産業組織に対する党の政治的指導・思想的指導・組織的指導を強化し、社会主義の核心的価値観を導きとし、正しい発展方向を堅持する」ことが謳われ、党の組織、党の活動で業界のすべてを覆うことが強調され、その文化政策の別の顔も垣間見られました。

次回は11月1日の更新予定 テーマは<4Gから5Gへ>です。

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