企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

第843回 4Gから5Gへ

(2018年11月1日)

“1G空白、2G跟随、3G突破、4G并跑、5G超越”とは、2018年5月頃から中国通信業界でよく引用されている言葉。“大哥大”で代表されるような1Gが始まった時期は、中国通信業界はその開発において全くの埒外でしたが、90年代に入り、2Gの段階になると、中国もヨーロッパのGSMやアメリカのCDMAの後を追うようになりました。21世紀に入り、スマホが幕開けを迎える時期には、中国も一部技術において自力でブレイクスルーするようになり、2010年に4G時代が到来を告げると、ついに先進諸国と並走するまでになりました。当時中国の街かどには4G時代到来を宣伝する広告が随所に見られたものです。そうした中、今、三大通信キャリアと呼ばれる中国移動(チャイナモバイル)、中国聯通(チャイナユニコム)、中国電信(チャイナテレコム)がしのぎを削っています。

その4Gも、第12次5カ年計画終了時の2015年には急速な広がりを見せ、同年5月に国務院が発表した<高速ブロードバンドネットワーク建設のネットワーク加速と価格引き下げに関する指導意見>では、2017年までに1兆1000憶元を投じ、全国の都市と農村を網羅する、とし、同年末には全国の主要都市や郷鎮をカバー、ユーザーは5憶人を超えました。
ちょうどその頃から5Gを視野に入れた動きが本格化し始めました。早くも同年2月、5G技術の研究開発・推進を目的とする、中国情報通信研究院(通称CAICT)が組長を務める中国IMT-2020(5G)推進組が<5G概念白書>を発表、5Gの研究が事前調査の段階から基準制定の段階に入ったことを示唆しました。この動きに合わせ、2016年12月には日本のNTTドコモが同組と、5G各種技術の標準化や利用周波数帯域などを検討することに協力する覚書に調印しています。
5Gには主に、超高精細ディスプレイ関連の「超高速モバイル通信」(eMBB)、IoT関連の大規模な通信(mMTC)、自動運転・遠隔医療関連の安定的で素早い(URLLC)が含まれますが、最大のテーマが標準化問題。中国は5Gでは自前の技術を国際基準にしようと、関連特許を次々に獲得、3GPP(5Gに関して国際的に標準化を推進する団体)へ猛烈な攻勢を仕掛けています。ただ、5Gはまだ、理念の段階を脱しておらず、今後、どうビジネスモデルを構築するか、そこに至るまでの費用負担も含め、先行きはなお不透明です。

次回は11月8日の更新予定 テーマは<自動運転をめぐる動き>です。

バックナンバー一覧はこちら

三瀦先生のコラム