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第848回 少年犯罪の動向

(2018年12月6日)

2017年4月、政府から<中長期青年発展プラン(2016-2025)>が示されました。ここでいう青年とは14~35才を対象としており、未成年の保護、就職、結婚などがプランの対象に組み込まれていますが、その中の(九)では特に青少年犯罪の防止策として、①低俗な出版物や映像著作権侵害行為の取り締まり ②キャンパス周辺の環境整備(ネットカフェやゲームセンター、宝くじ販売所などの営業禁止の徹底)、③キャンパス周辺の防犯対策(いじめや校内暴力) ④ネットの徹底管理が取り上げられています。また、全国の県レベルを中心として青少年層をしっかり把握し管理することが求められ、家庭や学校による見守りを強化して不良化防止と矯正活動に取り組むことも求めています。
現在、中国の少年が抱える主要な問題は、日本とも酷似しており、ネットに溺れて自己抑制が効かなくなり、社会への不適応を起こし、それが容易に犯罪につながる事象が後を絶ちません。中国では既に2010年に<オンラインゲーム管理暫定規則>が施行され、使用には実名登録が求められましたが、チェックがずさんで抜け道が多く、ほとんど効果が上がりませんでした。こうした中、2017年には、テンセントが開発した<王者栄耀>というスマホゲームが大流行し、熱中しすぎて親から注意された13歳の子供が飛び降り自殺したり、40時間も熱中して脳梗塞を起こし、命を失いかけた17歳の少年の例も報告され、ついにテンセントが12歳以下の未成年者は1日1時間まで、12歳を超えた場合は2時間まで、とし、強制的にストップをかける対策を打ち出し、メディアでも大きく取り上げられました。
しかし、その一方で、親が幼い子供にスマホを与えてアニメやゲームに熱中させ、その間自分がネットやスマホゲームに夢中になるという現象が社会のいたるところで見かけられるようになり、これ又、日本同様、物議を醸しています。
未成年犯罪の逮捕者数は2003年から2015年に累計で92万人にも達し、そのなかでも校内暴力が深刻化していますが、こういった未成年犯罪者をどう取り扱い、更生させるかについて、新しい取り組みも始まっています。未成年者の将来を考え、懲戒と教育による再生を目指すことで、不起訴率は年々向上しており、履歴への記載を封印するなどの措置も取られ始めています。今後の更なる取り組みが注目されます。

次回は12月13日の更新予定 テーマは<最近の日中関係>です。

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