企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

第868回 農村の道路網整備

(2019年5月9日)

2015年までの第12次5か年計画で36万キロの農村自動車道路が建設されましたが、政府はさらにこれを強化して、農村貧困撲滅の切り札とすべく、2016年からの第13次5カ年計画では<“十三五”交通貧困扶助プラン>を立案しました。そこには、およそ8480憶元を投じて2020年には貧困地域に高速道路を通し、更に一定の条件を備えた県都には二級以上の自動車道路を、郷鎮や建制村には舗装道路を通し、バスを運行させることで、「外界と通じ、村々の行き来を便利にし、定期バスが通り、安全かつスピーディ」な交通輸送ネットワークを完成させる、という目標が掲げられています。そのカバーする範囲は、全面的な貧困県680件の他に、その他の貧困県や、旧革命地域・少数民族地域・国境地域の県も含まれ、その総数は1177県に達しています(人民日報2016.11.25付)
      政府は合計100万キロに及ぶこれら自動車道路の整備についてさらに細分化した具体的な数字を挙げていますが、これを見ると、何を意図しているのかがよくわかります。個々にそれらを列挙してみましょう。
①郷鎮未舗装道路の舗装1万キロ ②建制村への舗装道路開設23万キロ ③貧困村移住先への舗装道路開設5万キロ ④農村観光及び産業パーク用自動車道5万キロ ⑤一定人口以上の自然村への舗装道路開設25万キロ ⑥基準未達成既存自動車道再建設23万キロ ⑦アスファルト砂礫化道路の改修20万キロ ⑧自動車道路危険橋梁改修1万5000か所
      1990年代後半、WTO加盟を目前に、政府は農村改革に積極的に取り組み、“村々通”政策を実行、辺鄙な農村にも自動車道路を通し、<一村一品政策>によって農村の振興を図りました。その結果、農村の生活水準が向上し、2008年のリーマンショックを農村消費で乗り切ったことは記憶に新しいことです。しかし、その時点でなお取り残された一部の農村の貧困がその後大きな格差を生むことになり、まさに習近平政権の「2021年には全面的な小康社会を」という公約実現の最大のネックになったのです。上記①②③⑤はまさにこの点に真っ向から取り組んだもので、一方、④は貧困な農村を、一村一品をベースに企業誘致・起業・ECなどを発展させるためのインフラ整備、⑥~⑧は道路の再整備を企図したもので、これらの政策により、2018年以降、全国各地からその成果が続々報道されています。

次回は5月16日の更新予定 テーマは<冬季オリンピックへ向けた動き>です。

バックナンバー一覧はこちら

三瀦先生のコラム