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第871回 中国のPKO活動

(2019年5月30日)

2019年2月、ニューヨークの国連本部で<世界の平和を守る中国の軍隊>という展示が始まりました。中国メディアは、開幕式に出席した国連のアトゥール・カレ事務次長の、中国のPKO活動における貢献に対する賛辞を紹介するとともに、「中国は国連のPKOで独特かつ重要な役割を果たしている。中国のような加盟国の支持がなければ、PKOはここまで成果を挙げられなかった」とし、「カレ事務次長の発言を賞賛したい。中国は国連のPKOを終始一貫して支持しており、今後も積極的に参加していく」という中国政府報道官のコメントを掲載しました。国連の統計によりますと、1990年以降、中国はPKO部隊3万9000人余りを派遣、1万3000キロ余りにわたる道路を整備、17万人余りの患者を治療したほか、護衛やパトロールなどの任務を300回余り遂行してきました。また、中国海軍の病院船「平和の方舟」はすでに43カ国を寄港、23万人余りに医療支援を提供しているということです。
      こういった中国のPKO活動をどう評価するか、については様々な論評があります。中国は1990年代前半の三沿開放政策以降、周辺諸国との連携に力を注ぎ始めました。それまでは、アメリカ、ロシア、日本などの政治・経済大国を相手に、国際社会で友好国を増やすことを念頭にAA諸国への援助を中心に外交を展開していましたが、90年代後半、江沢民・クリントン時代にアメリカとの関係を構築し、続けて2001年にWTOに加盟するというプロセスを経て、国際経済秩序における独自経済圏の構築を図り、それによって国際社会における地歩を築き、発言権を確保しよう、という動きが活発になりました。この動きは、2003年に胡温体制が確立するとともに顕在化し、ASEANとは、雲南省昆明を橋頭堡にグレーターメコン経済圏の構築に取り組み、中央アジア諸国及びロシアに対しては、2001年に成立した上海協力機構を足場に多方面にわたる協力関係が構築されていきました。こういったなかで、中国は国連安保理の常任理事国として国連の軍事活動に参画し、その中での発言権を高めることで自国の安全保障を高めようと考え、積極的にPKO活動への参加を進めてきたのです。中国は現在、PKO予算の第二の拠出国であるとともに既に13人の犠牲者も出しています。レバノンには2006年以来5300人を派遣し、現在も地雷の掃討などに取り組んでいますが、こういう活動を通して、世界の大国としての国際的信頼を高める努力を続けられています。

次回は6月6日の更新予定 テーマは<新疆ウイグル自治区の変貌>です。

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