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第885回 最近のエネルギー問題「天然ガス」 ―その2―

(2019年9月26日)

中国国内では、“西气东输”(タリム盆地から上海に到る)、“陕京”(陝西省から北京に到る)、“川气东送”(四川省から上海に到る)といった大口径パイプラインの整備が進んでおり、江蘇省では早くも2015年時点で省全体をカバーする天然ガス供給体制を敷き終わり、大気汚染の改善にも顕著な効果を上げました。同時に、各地方でも供給網整備に向けたプロジェクトが次々と進められており、例えば、中部地区では2016年に中国石化が中原油田に中部地区最大の天然ガス備蓄庫を建設、広西チワン族自治区でも同年中国石化の広西LNGプロジェクトが商業運営に入りました。西南地域初のこの設備は湖南・広東・貴州・雲南にまたがる天然ガス供給網の拠点となり、2200万戸の家庭に天然ガスを供給できるとのこと。       
政府の現在の計画目標によると、2020年には全国のパイプライン総距離数が10.4万キロに達し、2025年には主要パイプラインが全面的に開通、人口50万人以上の都市はほぼ天然ガス化されるはずです。2017年5月、政府は<石油天然ガス体制改革深化に関する若干の意見>を出し、石油・天然ガスの探査を開放する考えを打ち出しました。同年までの5年間の国内天然ガス平均産出量は1200億㎥で、世界第6位に位置します。自国内でのガス田開発には今後ますます拍車がかかるでしょう。そんな中で注目されているのがシェールガス。2012年の地質調査で資源量134.42兆㎥、採掘可能量25.08兆㎥と推定された中国のシェールガスは、2020年には生産量が、天然ガス年生産量2000億㎥の15%にあたる300億㎥に達するとも言われています。       
天然ガス不足で、石炭需要は一時的に回復に向かいましたが、石炭産業の未来への展望は予断を許しません。振り返れば、それまで14年間連続して増加していた石炭産出量が減少に転じたのが2014年、その背景には経済成長の減速に加え、中国におけるエネルギー消費に占める石炭の割合が6割近くにまで減少し、加えて、質が低い割には採掘コストがかかることで割高な中国産に対し、生産過剰で価格も安い海外産石炭の輸入が増加し、2014年には輸入量が3億トン近くと、国内消費の8%に達していた事実がありました。その一方で、既に生産能力過剰にも関わらず、無謀な生産能力の増加は続き、建設中の生産能力がひきも切らず、といった状態が続きましたから、先行きが見えないのも当然です。

次回は10月3日の更新予定 テーマは<日本企業に対するM&Aの回顧と展望>です。

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