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第893回 民生の向上と公共サービスの改善-その2-

(2019年11月7日)

第13次5か年計画では、シェアすべき具体的な利民政策として、なにが掲げられたのでしょうか。       
第一に掲げられたのは全国をカバーする基本公共サービスの実現で、その上で、豊かさをシェアする理念に基づき、貧困者対策が主要項目として掲げられました。支えとなる収入を確保する様々な施策を基礎に、まず教育面では中等職業教育における学費等の免除、貧困家庭子女の高等学校学費等の免除と学資援助の推進、また、職業教育の充実を挙げ、終身職業技能訓練制度の推進、新世代農民工職業技能向上計画の実施、専門技術・技能の資格レベルと大都市の戸籍取得との関連付けも提起されました。富の均等化という面で、総合課税と分離課税を合わせた個人所得税制確立への意欲も注目されました。       
次に重要視されたのが、迫り来る高齢化社会への対応で、勤労者基礎養老金の全国的普及、定年退職年齢の漸進的延長、定退者入院費の本籍地以外での直接清算の実現、在宅介護をベースにした、社区(居住区)の支援、各種機関の補充による多層的介護システムの構築、介護市場の全面開放などが謳われました。その他、医療関係では、都市と農村の基本医療衛生制度・大病保険制度の確立や近代的病院管理制度の確立が目につきます。       
3年半が経ち、第13次5か年計画も残すところ1年余りになりました。その間、2017年には国務院から、すべての国民が公平かつ速やかにほぼ均等なサービスが受けられるよう、<十三五基本公共サービス均等化推進プラン>が打ち出され、公共教育・労働就職起業・社会保険・医療衛生・社会支援・住宅保障・公共性文化&公共性スポーツ・身障者支援の8分野81の項目について適切な管理を行い、地域格差を是正していく方針が示されました。       
こういった中で注目されるのが民生事業充実の柱となるにPPP方式の推進ですが、民間組織の認定と参入に関して、党・政府はその必要性は認めながらも、一党独裁の維持という観点から、警戒心も強く、既に、2016年には<社会組織管理制度を改革し、社会組織の健全かつ秩序ある発展を推進することに関する意見>を打ち出し、その管理強化に先手を打っています。その後のPPP方式の発展経過については次の機会に。

次回は11月14日の更新予定 テーマは<中国と中東>です。

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