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第897回 国内観光に関する話題

(2019年12月5日)

2018年3月、国務院は<关于促进全域旅游发展的指导意见>を打ち出しました。その前文にはこう書かれています。「大衆観光時代の到来につれて、供給不足、秩序の乱れ、体制の不備が顕在化している」、「一定地域をよく整備された観光地とし、観光業を優れた産業とし、統一的な施策を進めることは、観光業の近代化、集約化、質の国際化にプラスである」。       
こうした動きはすでに前年の2017年から始まり、それ以前の海南省・寧夏回族自治区に陝西省・貴州省・山東省・河北省・浙江省の5省を加えた7地区がモデル地区に指定されました。また、国家旅游局の<全域旅游发展報告2017>では全国23の一級行政区で「旅游発展委員会」が設立され、旅游警察・旅游巡回法廷・工商旅游分局なども設けられました。       
こういった動きには、雲南省が「ガイドによる強制ショッピング、観光客への暴行」といったイメージを持たれてしまった背景があります。2017年には<雲南省旅游市場秩序整治工作措施>という取り締まり対策が打ち出されましたが、雲南に限らず、各地で、格安の団体旅行を募集しては強制オプションで搾取するケースが後を絶たず、当局は取り締まりを強化するとともに、観光業の正常な発展を促進すべく総合的な対策を打ち出したわけです。       
国内観光の発展で注目すべきもう一つが農村観光の発展でしょう。“農家楽”と呼ばれる農村観光が始まった当初は、食事の衛生、宿泊・トイレ施設の劣悪さなどが随分取りざたされましたが、様々な試行錯誤を経つつ、次第にレベルアップし、国内観光の目玉になりつつあり、年間総需要はすでに延べ20億人を突破しています。都市人口が全人口の半分以上を占めるようになり、田舎からの脱出が田舎へのノスタルジア、自然に触れ合うことの楽しさを人々に感じさせるようになったことも大きな要因でしょう。今各地では地域の特色を打ち出した“農家楽”が進められていて、「差別化」がホットなテーマになりつつあります。
それにしても劇的に変化したのが、農村観光の最大のネックと言われたトイレ。習近平総書記の「トイレ革命」の効果が漸く末端まで波及し、臭いトイレはほぼ姿を消しつつあります。国家旅游局は2018年に<全国全域旅游全息信息服務系統>「全国地域旅行情報サービスシステム」を立ち上げましたが、その目玉は50万か所に上るトイレの位置情報で、観光客にとっては欠かせない情報システムと言えましょう。

次回は12月12日の更新予定 テーマは<外資政策新たな動き>です。

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