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第902回 “扫黑除恶”の展開-その2-

(2020年1月16日)

同時期に打ち出された最高人民法院・最高人民検察院・公安部・司法部による<法に則り、闇勢力の違法犯罪を厳重に取り締まることに関する通告>では、この運動を「人民戦争」と位置づけ、これらの組織の組員やそれらを擁護する者はそのような行為を直ちにやめると同時に、2018年3月31日までに自首自白した場合は減刑し、そうでない場合は重罪に処すること、また、これらの者を後ろ盾にする役人は、誰に関わろうとも徹底追及することなど、4項目を提示しました。これに合わせて、各地の「戦果」も大々的に報道されました。例えば、湖北省はその前年に884の闇組織を壊滅、8625人を拘束し、併せて関係犯罪者のデータベースを立ち上げる方針を打ち出しましたし、湖南省では7951人の「ハエ」がつかまり、立件数は5675件に達しました。また、陝西省ではなんと、1月25日からわずか12日間で200余りの闇組織を壊滅させ、1426名を拘束した(!?)とも報じられました。       
それではそれらの犯罪者とはどんな者たちを言うのでしょうか。街で配布されているパンフには以下のような項目が列挙されていました。       
①治安・制度・政治の安定を脅かす勢力 ②権力を牛耳り、選挙を私し、農村の資源や公有資産を食いモノにする者 ③一族の勢力を使って農村で幅を利かせ、一般人を虐げる者 ④土地の収用・賃貸や建設工事などで暴力を振るう者 ⑤様々な業種や分野で工事の強行、不正入札、違法土地占拠、乱開発をする者 ⑥市場・駅頭・観光地などでインチキ商売・押し売り・ショバ代の徴収などをする者 ⑦風俗・賭博などの営業をする者 ⑧高利貸や強引な取り立てをする者 ⑨民間トラブルに介入して脅し役をする者 ⑩人を使ってネット上で脅迫・侮辱・誹謗などをする者 ⑪国内に侵入した国外の闇組織 ⑫闇勢力の黒幕       
2019年1月に公安部は、闇勢力打倒運動開始以降2018年末までに全国で1292の闇組織、5593の犯罪グループを壊滅、摘発した刑事事件は79270件に達した、と発表しました。       
2019年3月1日、人民日報は姜潔記者による<党と国の反腐敗工作の新しいページを開く>と題した、ほぼ1ページ全部を使った署名記事を掲載、国家監察体制改革の1年を振り返りましたが、「トラもハエも叩く」運動を、特別キャンペーンとしてではなく、どう公正に日常活動に定着させるか、今後の取り組みが問われるでしょう。

次回は1月30日の更新予定 テーマは<夜間経済>です。

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