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第903回 夜間経済-その1-

(2020年1月23日)

2019年8月、国務院は相次いで<关于进一步激发文化和旅游消费潜力的意见>「文化及び観光の消費潜在力をより引き出すことに関する意見」と<关于加快发展流通促进商业消费的意见>「流通の発展を速め商業消費を促進することに関する意見」を出し、“夜間経済”すなわち夜間消費の活性化を奨励しました。これに合わせて人民日報では同年10月25日から経済面で「経済の焦点、夜間経済観察」という報道シリーズを連載しました。       
“夜間経済”と言えばすぐ頭に浮かぶのが中国南方や台湾の夜市。昼間の暑さが癒えた夜は、人々が外に出て食事や娯楽を楽しむ時間で、夜10時ころの人出を見ると、夜8時にはシャッターが閉まり閑散とする日本の地方都市との対比にびっくりします。このような光景は、中国北方ではほとんど見かけられませんでしたが、今それが一変しつつあり、北京・天津・上海・重慶といった四大直轄市はもとより、西安・成都・済南といった地方の大都市にも広がりつつあります。このような動きのきっかけとなった一つはLEDの急速な普及でしょう。人工衛星から見た特定地域の明るさはその地域の経済発展の程度を示す、と言われていたのが、LEDの普及で必ずしもそうとは言えなくなった、という皮肉な見方もありますが、ともかくふんだんに照明を使えることでとかく派手好きな中国人がこれに飛びつき、中国全土にイルミネーションがあっという間に広がりました。今ではそういうライトアップをしない都市を探すほうが難しいでしょう。こうした景観に魅せられて夜間に外出する人が急速に増え、北方地域でもこれに応じた商売が一挙に発展し始めました。経済成長の鈍化に悩み、消費の振興に躍起になっている政府がこれを見逃すはずがありません。       
政府の方針が打ち出されたのに呼応して各地も次々と“夜間経済”振興の方針を打ち出しています。例えば北京市は<北京市关于进一步繁荣夜间经济促进消费增长的措施>「夜間経済を一層発展させ消費の増加を促進することに関する北京市の措置」を、西安市は<关于推进夜游西安的实施方案>「西安夜間観光推進に関する実施プラン」を早速打ち出しました。       
ではこうした“夜間経済”にはいったいどのようなアイテムが含まれるのでしょうか 。まず誰しも頭に浮かぶのは“美食”「グルメ」ですが、最近の“夜間経済”の特徴は、食の範囲をはるかに超えた動きが活発化していることです。続きは次回に。

次回は1月30日の更新予定 テーマは<夜間経済-その2->です。

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