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第915回 最近のバイオ研究開発状況

(2020年4月16日)

2007年の264号で中国のバイオ技術について書きましたが、その後の状況はどうなっているのでしょうか。第12次五か年計画(2011~)の最終年、2015年の報道によると、「中国は既に、水稲・コムギ・トウモロコシ・キュウリなど70~80%の重要作物の遺伝子配列を解明し、その研究レベルは世界の最前線に躍り出ている」、「2011年7月にオープンした北京国家現代農業科学技術城通州国際種子産業科学技術パークは、国の種子“シリコンバレー”として、わずか4年で関係企業や研究所60社近くが集結した」と報じています。       
このパークは著名な研究者を網羅した151名の専門家チームを結成、作物育種の総合管理プラットフォーム、農業クラウド、生態区種子産業モデル基地展示共有プラットフォームなどを整備し、農作物種子資源の共有を図るとともに、2014年には“北京国際種業品種権交易創新基地”を立ち上げています。   
こうした流れを受け、翌2016年1月に施行された、中国の現代的種子業の発展を支えるための改正<中華人民共和国種子法>は、イノベーションによる種子産業の新体制を整備するとともに、主要作物の栽培品種選定のスリム化と基準の合理化、非主要農作物の強制的登記制度を盛り込みました。更に新法では民事上の権利侵害行為に対する賠償責任が明確にされ、違法行為に対する行政処罰も書き加えられるとともに、刑事責任も追及するとしています。   
また、同年、政府は遺伝子組み換えについての見解も明確に示しました。4月、農業部は、遺伝子組み換えに関する6つの問題について説明しましたが、その中には、発がん性の問題、遺伝子組み換え大豆の大量輸入問題、遺伝子組み換え技術の管理問題などが含まれています。そこで示された基本方針は、「研究は大胆に、普及は慎重に、管理は厳格に」で、「農業の遺伝子組み換え技術の開発と監督を強化し、安全を確保しつつ慎重に普及させる」が同年の党中央1号文献にもなりました。9月には深圳に中国初の国家遺伝子バンクが開設され、1000万件以上のサンプルが収納されました。   
2017年、中国の農業植物新品種権申請数は1.8万件を突破しました。中国では、青蔵高原など各地にまだ豊富な種子資源が眠っており、2019年、昆明の植物研究所は、10余年にわたる活動により、10048種の野生植物の種子を採取した、と発表しています。   

次回は4月23日の更新予定 テーマは<貧困撲滅は間に合うか>です。

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