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第917回 貧困撲滅は間に合うか―その2―

(2020年4月30日)

前回述べたような取り組みには当然そのマザープランがあります。それが2016年の国務院による<“十三五”脱貧困攻略プラン>で、これに伴って実行に移された<脱貧困攻略戦に勝利することに関する中共中央・国務院の決定>では、10の関連文書を制定、32の主導部門と77の参加部門から合計118本の政策並びに実施プランが打ち出されました。       
それでは、その貧困扶助には一体どんな項目が含まれているのでしょうか。2017年2月6日の人民日報は、2017年を「脱貧困攻略戦が全面的にブレイクスルーする重要な年」と位置づけ、①胃ガンなど9種類の大病の貧困患者を集中的に救うこと、②病気が原因で貧困に逆戻りした貧困世帯に対する病気に応じた対策の実施、③技能習得による貧困脱出のための一千校行動計画の実施、技術学校に学ぶ貧困家庭学生に対する年一人当たり3000元の補助、④移住による貧困脱出340万人、⑤出稼ぎ労働者送り出し地区と受け入れ地区の連携を強化、対象貧困労働者に対する両地区間の交通費補助、⑥チベット及び4省のチベット人居住地域、新疆南部や各民族自治区におけるインフラ及び基本公共サービスの確立、を掲げました。これに合わせ、中央政府は、2017年の中央による貧困扶助資金を前年比で30.3%増額するとともに、同年6月、六大プロジェクトを含む<“興辺富民”(辺境地区の振興を図り、人民を豊かにする)“十三五”プラン>を打ち出しました。(六大プロジェクト:①交通・水利・情報を含むインフラ建設、②貧困人口の貧困脱却と居住条件の改善、③独自の優れた産業(農業・加工製造業・サービス業)の発展と産業パークの推進、④国境を開放し、一帯一路建設を進めて、対外貿易スタイルの転換を図る、⑤生態保護と生態文明の建設を強化する、⑥民族の団結を護り、国境の防衛をしっかり固める。)   
2017年9月1日、人民日報は同年6月23日に開催された<貧困地区脱貧困攻略を深める座談会>における習近平の長大な講話全文を掲載、党大会を目前に控え、脱貧困攻略戦の進軍ラッパを響かせました。勿論、貧困への取り組みはこれまでも1994-2000年の<国家八七貧困扶助攻略計画>、2001-2010年と2011-2020年それぞれの<中国農村貧困扶助開発綱要>などがありましたが、いよいよ最後の決戦に挑もう、という意思が強く示されたわけです。では、続く2018年はどう展開したのでしょうか。それはまた次回に。   

次回は5月7日の更新予定 テーマは<貧困撲滅は間に合うか―その3―>です。

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