企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

第922回 「十三五」期間の知財権動向-その1-

(2020年6月4日)

本コラム第654号で「十二五」期間中の知財権に関する動向を概述したので、本号と次号で「十三五」期間中の動きを概述しましょう。この期間は特にその後半において、米国トランプ大統領との知財権絡みの貿易戦争が勃発しただけに、とりわけしっかり把握しておく必要があります。       
中国ではここ十年、知財権開発の勢いが急拡大しています。国家知財権局によると、年度別の特許獲得数が2010年は814825件だったのが、5年後の2015年には1718192件(2010年比約2.1倍)に、その3年後の2018年には2447460件(2010年比約3.0倍)に増加しました。人口1万人当たりの特許所有量も2007年にはわずか0.6件でしたが、2019年には13.3件に跳ね上がり、発明特許権獲得数45.3万件、実用新案特許158.2万件、外観設計特許55.7万件、商標登録も640.6万件を数えました。更に、中国の特許・商標に対する担保融資額は2018年時点で1224億元に達しました。   
こうした勢いは当然、世界的にもインパクトを与えています。2018年2月12日の人民日報は、中国が特許大国から特許強国へ転換しつつあると豪語し、その実例の一つとして、ドローンの開発メーカー、大疆社を挙げています。当時、同社は世界で1900件の特許を取得していましたが、そのうちアメリカで100件以上、日本でも100件近くを数えていたのです。   
そのアメリカへの進出は目覚ましく、中国企業がアメリカで所有する特許数は10年足らずの間に10倍ほど増加して、アメリカ、日本、韓国、ドイツに次ぐ第五位に躍進しました。こういった動きは対アメリカにかかわらず、EUや一帯一路沿線諸国にも同様に拡大しており、世界知的所有権機関(WIPO)による世界革新指数(グローバル・イノベーション・インデックス)でも4年続けて上昇、第14位に躍進しています。中でも注目されるのがAI関係の特許数で、既に「十三五」初年度の2016年時点で9000件以上とアメリカの2倍を超え、特許申請数や関連企業数、融資規模などはいずれもアメリカに次いで世界第二位であり、トランプが登場した翌2017年のデータでは世界のサーバー市場の上位6社の半分が中国企業、クラウドとなると、上位6社に浪潮、聯想、曙光、華為と四社も入っていたのですから、アメリカが脅威を感じないはずがありません。   

次回は6月11日の更新予定 テーマは<「十三五」期間の知財権動向-その2->です。

バックナンバー一覧はこちら

三瀦先生のコラム