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第929回 西夏古文書の公開

(2020年7月23日)

2020年2月21日の人民日報に「国立図書館に収蔵されていた西夏の古文書が修復され、今後、順を追って公開される」という記事が大きく掲載され、考古学ファンの目を惹きつけました。       
およそ200年近く十代に渡り、現在の寧夏回族自治区、及び陝西省北部・甘粛省西北部・青海省東北部・内モンゴル自治区の一部などを支配した西夏(1038-1227、本来の名称は「大夏」)はタングート族が建てた王朝で、開祖、李元昊は首都を興慶府(今の寧夏回族自治区の区都、銀川)に置き、遼や宋と抗争を繰り返しつつ、西夏文字に代表される独特な文化を育みましたが、モンゴル軍に激しく抵抗した末、ジンギスカンの遺言により徹底的に破壊しつくされ、その痕跡は歴史の舞台から忽然として消えてしまい、その実態を伝える古文書は数えるほどしかありませんでした。今回の古文書の発見と修復について、人民日報は以下のように紹介しています。   
2015年5月、国立図書館に、西夏文化研究センターの史金波主任から電話が入りました。「ある古籍商が西夏の古文書を売りに出すとのこと。本物のようなので、是非、国立図書館で購入収蔵したい」と。これに先立つ1929年に、当時の北平図書館(国立図書館の前身)が20巻余り、計100冊ほどの西夏文献を収蔵しており、史金波氏は1970年代からその研究に着手していたのです。かつて国内に残存した西夏の古文書は多くが海外に流出しており、国内にはわずかしか残っていなかったのです。新しく入手した文書はほぼ完全な8冊と数百ページの残片があり、国内で初めて発見された文献や、過去に発見されながら盗難などで遺失した文献なども含まれていました。   
国立図書館はこれに先立つ2003年に西夏文献修復プロジェクトをスタートさせており、その経験を活かして、新規の修復作業が始まりました。全部で18の包みに分けられた文献のうち、2019年末までに3分の2に当たる12包みの修復が終わり、残りもこの2020年末までには完了する予定だ、とのことです。その中には、チベット語・モンゴル語・漢語で書かれた、歴史上有名な凉州会盟の文もあり、謎に包まれていた西夏の歴史と文化に新しい光を当てるきっかけとなることが期待されます。   

次回は7月30日の更新予定 テーマは<中国の水問題その後>です。

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