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第935回 自然災害対策への取り組み-その2-

(2020年9月10日)

第12次5か年計画期(2011-15)、中国では各種の自然災害が頻発し、被災者は年平均3.1億人に上りました。第11次5か年計画期に比べれば死亡者数、倒壊家屋数、農作物被害面積などは減少し、防御レベルは向上傾向にあるとは言え、異常気象の多発化に対する対策は依然不十分で、家屋の損壊に対する補償、車両や農作物の被害に対する保険の整備などは、保険自体は既に存在していても、内容的に様々な不備を抱えていました。       
こうした状況を踏まえ、政府は2017年から総合的な自然災害対策に取り組み始めました。同年1月には<防災・減災・救援の体制・システムの改革に関する中共中央国務院の意見>を発し、中央と地方の災害対策における責任分担を明確化するとともに、災害の対策・救援・復興などあらゆる側面への民間支援を受け入れるためのシステム整備も積極的に進め、大都市の住宅向けなど、大規模災害に対する保険の整備にも力を入れる方針を打ち出しました。   
また、これに合わせて、国務院は<国家総合防災減災プラン(2016-2020)>を公布して、同期間中に体制・システム整備を一層進め、関連法規を整備し、直接的な経済損失をGDPの1.3%以内に止めるとともに、中央・省・市・県・郷5段階の災害救援物資備蓄体制を確立することを打ち出しました。一方、国土資源部も<全国地質災害防止対策“十三五”プラン>で、地質災害に関する四大システム(調査と評価、観測と警報、総合対策、応急措置)の整備を打ち出しました。中国は国土の65%を山岳地帯が占め、世界有数の地質災害国であり、危険個所は28万カ所に上るとも言われています。   
2018年4月、中国気象局は初の<中国気候変化青書>を発表しました。それによると、1951年から2017年の間に中国の地表温度の年平均気温は10年単位で0.24度上昇し、世界水準を上回っており、中でも北方は南方に比べ、西部(特に青蔵地区)は東部に比べはるかに高くなっています。   
2019年1月、政府は、2018年の自然災害による損失が直近5年間の平均値を大幅に下回った、と発表しました。各種災害の発生に対する組織的支援活動の展開が奏功し始めたのです。2020年6月に国務院が<第一回全国自然災害総合リスク調査実施に関する通知>を発したことは、災害対策の重点が救助から防災へと移行していることを如実に示しています。   

次回は9月17日の更新予定 テーマは<新基建>です。

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