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第942回 消費-その1-

(2020年10月29日)

この10月19に中国国家統計局が発表したデータでは、2020年の第三四半期(7~9月)のGDP伸び率は実質4.9%と、前の期の3.2%増に続きプラス成長を維持、諸外国の低迷に比し、際立った違いを見せつけました。勿論そこには、次なる5か年計画策定、さらにはその直後の2022年の党大会を視野に入れた秋の五中全会開催へ向けた必死の経済回復諸政策があったわけで、インフラ投資にも力が入りましたが、もう一方で、ここ数年、多大な努力も払われてきたことにも目を向けなければなりません。       
新型コロナ流行前から、中国は貧困撲滅や米中対立の対策として経済の振興、消費の喚起に力を入れていました。2018年には社会消費品小売総額が38兆987億元に達し、そのうち、ネットによる小売総額が9兆元を突破しました。国民の生活も向上し、エンゲル係数は28.4%まで下がり、テレビ・洗濯機・冷蔵庫の普及は、百軒当たりそれぞれ121.3台、97.7台、100.9台とほぼ完全にいきわたりました。これと歩調を合わせるように、企業の設立も盛んで、一日平均1.84万社が新設され、その総数は既に1億社を上回っていました。   
翌2019年、社会消費品小売総額は40億元を超え、経済成長への貢献度は60%を超えました。また、その特徴として、前述のネット消費が20%を超え(20.4%)、その形態としては“直播电商”、“社交电商”、“生鲜电商”が急速に発展、また、サービス消費が人々の消費の半分以上(50.6%)に達しました。こうした動きを踏まえ、同年後半は、人民日報にも、今後、消費需要をいかに拡大するか、消費の潜在力をいかに引き出すか、を論ずる記事が急増しましたが、そこで登場した言葉が“下沉市场”。“下沉市场”とは、三級以下の都市、県・鎮及び農村地域の市場を指します。中国の全人口の7割を占めるこの地域には巨大な消費潜在力があるわけで、しかも、以前でしたら、農村消費は消費のレベルが低かったのですが、近年の交通網の発達、ECの普及、また、全国主体機能区計画に則った地方の経済振興も進み、所得が向上し、消費の質は飛躍的に向上しています。2019年11月に商務部は<下沉市场发展与电商平台价值研究>報告を発表し、“下沉市场”は消費を増大させる重要なエンジンであることを強調、さらに、その特質として、カスタマイズ消費の傾向が強く、新しいブランドを容易に受け入れ、理性的消費の傾向が強いことを指摘しました。   

次回は11月5日の更新予定 テーマは<消費-その2->です。

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