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第944回 学術の話題あれこれ

(2020年11月12日)

旧聞に属しますが、5年前の2015年5月5日、人民日報は<一大有一大之学問>と題する記事を掲載、この年、商務印書館が、2010年以来継続して出版してきた『中華現代学術名著叢書』第4輯を完成させたことを報じました。そこには、幅広い学術分野から、300種余りの著名な学術書が収録されています。早くは、章太炎、梁啓超、王国維、蔡元培、胡適、魯迅などから始まるこの叢書の意味は、「西洋と中国」、「伝統と現代」という視点からここ百年の中国学術界の成果を見直す点にありましょう。       
人民日報には学術に関係する紙面が折々設けられます。そこでは学術界が抱える様々な問題も取り上げますが、幾つかの学術的話題も提供されます。   
2019年1月14日に、<中国史学史学科の繁栄・発展を推進しよう>という南海大学姜勝利教授の一文が掲載されました。筆者はまず「中国の史学史は、1920年代に梁啓超、朱希祖らがその嚆矢を為し、1930~40年代に学問領域としての体裁を整えた。その後、文革による中断はあったが、80年代に入ると急速に回復発展し、尹達(中国社会科学院)主編の『中国史学発展史』、白寿彝(北京師範大学)主宰の雑誌「史学史研究」と主編の『中国史学史』、呉沢(加藤師範大学)主編の『中国史学史論集』と『中国近代史学史論集』、楊翼驤(南開大学)編纂の『中国史学史資料編年』らが現れた」としたうえで、改革開放以降の同分野の発展の特徴を以下の諸点にまとめています。①従来からの課題、例えば史官制度、歴史編纂学、官方史学、私家史学、正史、野史等の継続研究と新視点の提示 ②視点の多元化。史学家を地域・地域・時期・思想などによる様々な学派(乾嘉学派、浙東史学派、戦国策派、擬古派、食貨派、南高史派など)に分かれて研究 ③古今を網羅しつつ、特にここ20~30年、近代を中心とする研究が増え、五四期の史学、抗戦期、延安時期の史学といった時代を限った研究も出てきた。 ④侯外盧、郭沫若、翦伯賛、范文瀾、吳晗といったマルクス主義史学研究者の伝記や著作も相次いで出版されている。   
最近の史学界の傾向は、一方で、習近平政権の掲げる「中華民族の偉大な復興」という政治スローガンとの関連も色濃いものの、その中で、上述の、「西洋と中国」、「伝統と現代」について、学術的に、冷静かつ客観的な叙述を試みようという研究も少なくありません。   

次回は11月19日の更新予定 テーマは<思い切った土地改革-その1->です。

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