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第948回 伝統的技能・習俗の保護と継承

(2020年12月14日)

急速な経済発展、近代化の過程で、貴重な伝統文化はともすれば軽視され、途絶の危機に瀕するもの、中国でもその点に対して警鐘が鳴らされ、保存、伝承に力が入れられています。       
例えば、中国は「民間故事」すなわち民話の宝庫で、漢民族はもとより、多くの少数民族に豊かな民話伝承が残っています。しかし、アンデルセンやグリムなどの童話の流入、新作童話の波に飲み込まれ、ある調査では、昨今、中国の子どもがよく見るお話20話の中で中国の民間故事はわずか一話にすぎないとも。       
民間故事に止まらず、中国には様々な独自の習慣、技能があります。それらを生み出す基本的概念の一つが二十四節気でしょう。それ故、二十四節気はユネスコの無形文化遺産に登録されたのですが、中でも春節(旧正月)はまさにその第一の節気として様式・食事・民間芸能など様々な豊富な習俗を擁していますし、各民族にもまた独自の内容があります。いま、それらの伝承にどう力を入れているのか、いくつかの技能を拾ってみましょう。   
お正月といえばまず年画。有名なのが楊柳青・桃花塢・朱仙鎮・鳳翔などの年画です。木版年画は「中国民間文化遺産緊急保護プロジェクト」の筆頭に位置付けられ、2002年以降全面的な調査が行われて、2006年には楊柳青や桃花塢等の年画が国の第一次無形文化遺産リストに登録されました。蘇州桃花塢では2001年に蘇州工芸美術職業技術学院を設立し、年画後継者の育成を始めましたが、これは、その後、全国工芸美術高等学院に無形文化遺産の継承と保護が取り入れられることに先鞭をつけました。   
正月によく目にするのが切り紙細工。赤い切り紙をよく家の前に貼ったりします。河南省には、清の乾隆年間に始まり、300年に及ぶ歴史がある「孟津切り紙」があります。黄河流域の人々の生活を反映したその作品は、2015年には河南省の無形文化遺産に登録されました。   
中国のお正月に欠かせないのが獅子舞。一口に獅子舞といっても、南北で違いがあり、北方の方が、細かな技巧に走らず、勇壮さを重んじます。河北省蒼州蒼県の獅子舞は2009年に国の無形文化財に登録されました。その伝統を継承するため、近年では学校教育にも導入し、専門の伝習所も設け、既に延べ5000人以上を養成、近隣の他省にも普及し始めています。   
こういった様々な取り組みが今、中国ではあらゆる面で精力的に推進されているのです。   

次回は12月17日の更新予定 テーマは<東北三省の新しい動き>です。

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