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第959回 近年の交通インフラ整備-道路-

(2021年3月4日)

中国最初の高速道路は1988年10月に開通した滬嘉公路。その後1993年に世銀の借款を受け京津塘高速道路が開通して、90年代後半からは本格的な高速道路時代に突入しました。既述の如く、2020年は年間1万2713キロの高速道路が整備され、総距離数が15.0万キロと世界一になっており、今では、辺境地域も含め、全国すべての一級行政区で高速道路網がほぼ整備されました。雲南省で2021年1月13日に墨臨高速道路が開通し、省内16州全てに高速道路が通じるようになったことはその象徴と言えましょう。更に、浙江省では2020年12月に文泰高速道路など9本が開通し、省内全ての県に高速道路が開通し、省内一時間交通圏を形成しました。高速道路を軸とした発展ベルトの形成も始まり、2018年6月、滬昆高速道路(G6)沿線に位置する江蘇省・浙江省・安徽省の8都市が、「G6イノベーション回廊」構築で合意したことはその好例です。       
こうした一方で、この5年間の道路建設の主役と言えば、農村自動車道の整備でしょう。2014年に習近平総書記が「四好農村路」(建好、管好、護好、運営好)建設を打ち出しましたが、その後、2017年末までに全国の郷鎮の99.99%、行政村の99.98%に「四好農村路」が整備され、2018年までには毎年5000以上の行政村に公共バス路線を設置、設置率は郷鎮の99.1%、行政村の96.5%に及びました。これによって、各地の農村は生産物の出荷が容易になり、都市部との相互物流が発展し、農村消費もまた急速に成長し始めました。       
というと全てがめでたしのようですが、実際にはその中で問題も顕在化しました。人民代表大会代表彭祁氏は2019年7月の人民日報で、①行き止まりが多く、道同士の接続が悪い上に、幅が狭く渋滞しやすい ②整備費用が不足し、大幅な改修が困難 ③道路管理は「省が指導、市がチェック、県が主体」、財政は「県が主体、国や省が補助」であるため、責任の所在が不明確で空回りする ④車の過重積載、農民による敷地無断使用やゴミ捨て等不法行為による損傷が頻発 という「四難」を指摘しています。これに対して国務院は2019年9月の<農村自動車道路管理システム改革の深化に関する意見>で、2022年を目途に管理体制を整備する、と表明しました。2020年7月、全国の行政村の最後の1村、四川省の阿布洛哈村に自動車道路が開通、県都までの2時間をバスで10分余りで到達できるようになりました。   

次回は3月11日の更新予定 テーマは<近年の交通インフラ整備-航空->です。

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