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第961回 近年の交通インフラ整備-水運-

(2021年3月18日)

2017年1月、天津で中国遠洋運輸集団と中国海運集団が合併し、中遠海運物流と中国外輪代理と中遠海運船務という三つの看板を持つ中国遠洋海運集団が誕生しました。同社は2018年には世界160余りの国や地域を結び、17の埠頭を確保、世界500企業にもランクイン、2019年2月には世界最大級のコンテナ船双魚座号がギリシャのピレウス港に入港しました。       
習近平は2012年以来、海のシルクロード政策に沿って、環渤海湾地域は天津港を、長江デルタは上海港を、東南沿海は福建省アモイを、珠江デルタは深圳港を、西南沿海は北部湾港湾群を中心に世界の港と緊密な連携を強め、2020年末までに66の国や地域と二国間海(河)運協定を結びました。また、各港の設備近代化を推進、沿海の主要な港のコンテナ埠頭は全面的に電化を完成、スマート化も一気に進んでいます。例えば、山東省青島港では、2019年11月に、5Gを全面的に応用した全自動化埠頭が稼働、天津港でも2021年1月に、北斗衛星システムによる全自動化埠頭が完成しています。2020年、上海港の年間コンテナ取扱量はコロナ禍でも4350万ケースにまで上昇し、連続11年世界一を記録しましたが、北から南まで沿海地域を数珠つなぎに連なる他の港湾群もすさまじい勢いでこれを追尾しています。       
こうした中で注目すべきは、鉄道のコラムでも触れた陸海輸送の連結でしょう。重慶を例に見ると、第13次5か年計画中に建設された西部陸海新通道は西部各省の生産物を鉄道で広西チワン族自治区の北部湾の欽州港などへ運び、世界に輸出します。2020年1-11月の重慶-欽州鉄道便は2717本に達しました。従来、この地域の生産物は、長江を2000キロ下り、そこから東南アジアへと輸出されるので1カ月を要しましたが、欽州ならば1000キロで、東南アジアへは1週間で届きます。こうして、今ではこのルートを通して500種類以上の生産物が世界95の国や地域の249の港へ送られています。現在、北部湾港(欽州・北海・防城)は、西部各地に到る5本の鉄道路線を有し、陸海を結ぶ巨大なハブとして成長しており、北部湾港の年間吞吐能力は2.7億トンに達しています。       
最後に、国内で注目すべきは長江水道の発展でしょう。2018年には河口から南京まで水深12.5メートルの航路が完成、5万トン級の船が航行可能になりましたし、2020年1月には、上海-重慶間を往復する“滬渝直達快速線”の設置も合意されています。   

次回は3月25日の更新予定 テーマは<物流>です。

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