企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

第962回 物流の整備

(2021年3月25日)

 2019年年初に発表された<国家物流ステーションの配置・建設プラン>は2035年までに、全国127都市に6タイプ、212の国家物流ステーションを建設し、近代化された経済システムに呼応した全国的な「物流大動脈-物流ステーション-物流ネットワーク」システムを構築する、という目標を掲げました。また、発展目覚ましい中西部地区は今後の物流発展の重要な地域であるため、過半数の物流ステーションが同地域に振り向けられています。       
 こうした中で当面の重要課題として挙げられているのが、①輸送構造の調整 ②輸送効率の向上 ③物流コストの引き下げ で、大口貨物の輸送を鉄道や水運に振り替えるのも対策の一つ。2018年、政府は、2020年には2017年比で、大口貨物の道路輸送を4.4億トン減らす一方、鉄道は11億トン(30%増)、水運も5億トン(7.5%増)増やす目標を掲げました。それまでは道路輸送が48.6%を占め、鉄道輸送は19.6%と先進諸国に比べ10%も低かったのです。これが、近年、政府が鉄道と港湾の“最後1公里”に力を入れているもう一つの理由でもありますし、一方ではトラックの排気ガス汚染削減にもつながります。       
 江西省は陸に囲まれた地域ですが、省都南昌の近年の発展は上記の動きに乗ったものと言えましょう。同省は第14次5か年計画中に、ハイエンドサービス業、先進的製造業、現代物流を三本柱に、16の機能分区を設ける発展プランを打ち出していますが、その中で、国家一流物流基地である向塘鉄路物流基地は、陸路によるパリ、ロッテルダム、モスクワ、ハノイ等8都市への国際貨物輸送列車の他に、深圳の塩田港・寧波の北侖港・福建の江陰港・厦門の高崎港・上海港との間に5本の“海鉄聯運”国際貨物輸送列車も走らせることができるようになり、京東物流・蘇寧物流・菜鳥網絡・伝化物流・招商局物流など20社余りの著名物流企業が集結しています。       
 物流で今特に重点的に取り上げられているのが、近代的サプライチェーン、宅配物流、EC、コールドチェーンなどの物流サービスネットワークやスマート物流、エコ物流などですが、中でもコールドチェーンとスマート物流の急速な発展が始まっています。2019年の冷蔵車の総数は全国でまだ13.2万台。2020年の市場規模は4698億元と言われ、同年“一号文献”では、農産物の冷凍冷蔵輸送設備構築プロジェクトの始動が宣言されました。   

次回は4月1日の更新予定 テーマは<宅配の充実と関連問題>です。

バックナンバー一覧はこちら

三瀦先生のコラム