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第963回 宅配の充実と関連問題

(2021年4月1日)

 第19回党大会が開催された2017年までの5年間、中国の小口物流は年平均50%以上の成長を維持し、同年は一日の配達量が1億件を突破、郷鎮カバー率も80%に達し、人間ロボット一台の一日処理数1700件と、スマート化も進みました。その後、年間取扱量は2018年に500億件を、2019年には600億件を突破、2020年には830億件に増加しました。また、2019年には郷鎮カバー率が26の省レベルで100%、全国で95%に達し、これを受けて2020年7月、国家郵政局は<“快递進村”モデル事業の展開に関する通知>を出し、6省 (区)、15市(州)で試験的に“快递進村”を行う事とし、2021年には、行政村に対し、東部地区100%、中部地区80%、西部地区60%でこれを達成する目標を掲げました。2020年の農村での取扱量は既に300億件以上になり、今後ますます増加すると思われます。       
 発展する宅配業務に合わせ、2018年に政府は<宅配暫行条例>を施行、県クラス以上の地方政府に対し、宅配業の発展を「国民経済と社会発展プラン」に組み入れることを求めるとともに、配達規則や弁償規則など消費者保護の立場に立ったサービス規則を整備し、業務の健全化を目指しました。中でも重視されたのが“最後の300メートル”から“最後の100メートル”、“最後の1メートル”に及ぶ受け渡しのケアで、スマート受け渡しボックスの設置など様々な方策が講じられ始めましたが、マンションの入り口まで取りに行かなくてはならない問題や、小包の破損問題などを含め、顧客の満足度は2019年9月の調査ではいまだ78.3点に止まっています。       
 一方、配達する側から見ると、住宅地の配達拠点と住民とのトラブルや、モーターバイクや電動三輪の使用制限といった問題と共に、300万人以上の配達員の確保も問題になっています。11月11日に絡むネット販売では40万人に及ぶ臨時配達員の確保がさらに必要となり、その質の確保も課題になりました。このような配達員には、700万人にも及ぶケータリングの配達員もいます。主力は20~40才の青壮年で、農村出身者が大半を占め、家庭の主な収入源としているものも半分を占めていて、彼らの待遇改善もまた焦眉の急の問題です。       
 小口輸送で今脚光を浴びつつあるのがドローンによる配達。既に2017年には京東と陝西省がドローンによる農村への小口輸送で合意し、基地の建設に着手しています。   

次回は4月8日の更新予定 テーマは<人民日報の記事から>です。

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