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第966回 技術革新への取り組み-その1-

(2021年4月22日)

 習近平政権第二期のスタートを前に、2017年1月の人民日報は、<我が国はグローバルな影響力を持つ科学技術大国となった>という記事を掲げ、中国の科学技術論文の国際的な引用量がドイツ・イギリスを抜いて世界第二位に、発明特許の申請量・認可量が世界一になったことをその理由として挙げた。同時にハイテク企業が13万6000社を超え、社会全体のR&DのGDPに占める割合も、ユーロ15カ国の平均を上回り、2.15%になったことも紹介した。その頃から中国では「新四大発明」という言葉が聞かれるようになった。即ち、高速鉄道、モバイル決済、シェアバイク、Eコマースである。これらは皆デジタル経済の産物とも言え、人工知能やビッグデータを駆使したインターネット+による新しいサービス業が怒涛のような展開を始めたことに合致する。       
 2018年1月10日、人民日報に<人工知能が澎湃として発展する新しい優勢>と題する記事が掲載された。前年秋の十九全大会における「インターネット、ビッグデータ、人工知能と実体経済との結びつきを深めよう」という呼びかけと、その後の<新世代人工知能発展長期プラン>と<新世代人工知能産業発展三年計画(2018-2020)>など一連の政策に応えた記事であり、当時既に中国ではAIの実用化が、医療・商業・通信・都市管理などで急速に進んでいることを紹介している。例えば、2017年にバイドウが初めて公表したAI開放プラットフォームの全体戦略における対話式AIシステムやApollo自動運転技術プラットフォーム、テンセントが公表したAI医学映像製品などである。       
 その一方で特に注目されるのが、基礎科学研究への注力である。2018年1月、国務院は<基礎科学研究を全面的に強化することに関する若干の意見>を出し、21世紀中葉に向けた三段階の発展目標を掲げた。中国における基礎科学研究は80年代の863計画(高技術研究発展計画)を嚆矢とする(2019年12月11日の人民日報に改めてそのいきさつが記事として掲載された)。こういった政策はその後も絶えず引き継がれるとともに、そういった基礎研究の成果を産業化させるプロセスも年ごとに推進され、2018年頃はそれらが豊かな実を結ぶ時期に入ったと言えよう。同年3月、国務院が<国際的ビッグ科学プロジェクトを先頭に立って積極的に組織するプラン>を打ち出したことはその自信の表れとも言える。       

次回は4月29日の更新予定 テーマは<技術革新への取り組み-その2->です。

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