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 第九十七回 三峡ダムいよいよ稼動


三峡ダム建設に今年になってまた大きな進展が見られました。6月1日午前零時、長江三峡ダムの貯水が遂に開始されたのです。今年は第2期工事の<貯水><船の航行><発電開始>という三大目標実現の重要な年です。その後<貯水>は順調に進行し、 6月10日には予定より5日も早く所期の135メ−トルに到達しました。   
6月16日、観光船"神州号"が、2時間18分かけ、無事に5段階の水門を通過しました。これによって1万トン級の船が重慶まで航行できるようになり、上り下り南北計2航路の 片側年間輸送力5000万トンという新しい水運が誕生したわけです。
電力では、7月10日に1台目の2号発電機が発電を開始、16日には2台目の5号発電機が 発電を開始しました。今年度中には更に2台が稼動し、年間55億KWの電力を華東、華中地域に送電する予定で、来年には更に広東にも送電し、四川重慶地区も合わせて三峡電力網が形成されます。完成時の年間発電量847億KWは大型発電所14基分、石炭5000万トン分に相当し、「大気汚染の防止に多大な貢献をする」とのこと。
その一方で、解決すべき問題も多くあります。直近の問題として水質の保持がありま す。政府は2001年1月に<三峡ダム地区及びその上流域水質汚染防止改善計画(2001-2010)>を出し、2003年の貯水開始までに、水没地域の徹底的な清掃処理 を行なうよう指示、汚水処理場やゴミ処理施設の建設を精力的に進めてきました。汚染地域では"淘糞工"「汲み取りやさん」が大活躍し、長年肥えつぼに溜まった「宿便」を取り出し、山の上に運んで天日で乾燥させてからトラックで運び出しました。 貯水開始後に早速浮上した問題は大量の浮遊物。快速艇は運行停止、大きな船も避け て通るのがやっという状態で、当局は対策に大わらわ。また、河岸の崩落も既に2490 箇所に上り、139キロの河岸に防護工事が必要とも。政府は対策として40億元を投じ、 更に地質災害観測網の整備に取り組んでいます。
環境汚染が心配される企業は今年3月までに389社が解散させられ、330社が移 転させられましたが、住民移転の方は予定された113万人の内、移転済みはまだ64万5 千人。次にスタ−トする第3期工事と合わせ、しばらくは厳しい戦いが続きそうです。

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