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第974回 自動車産業、20年代以降を見据えて-その3-

(2021年6月17日)

 <新エネルギー自動車産業発展計画(2021-2035)>は五つの大きな任務を掲げました。第一は技術革新能力です。2025年までに共通する主要技術を、2030年までに最先端技術を、2035年までに重要な画期的技術を達成するという5カ年計画に沿った目標を掲げ、「三横三縦」という構成を提起しました。「三横」とは、インテリジェント化とネット化技術、ドライブモーターとパワーエレクトロニクス、パワーバッテリーと管理システムを指し、「三縦」とは、純電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車を指します。第二は新しい産業エコロジーの構築です。第三は産業間の融合発展の推進で、新エネルギー自動車をエネルギー・交通・情報と融合させようというものです。第四は、充電と交換のネットワーク、インテリジェント道路ネットワーク、水素エネルギーに関するインフラの整備です。そして第五が、ハイレベルな開放政策の堅持とグローバルバリューチェーンへの参入です。さらに詳細な内容については、ネット上でも十分日本語で閲覧できるので、参照してください。       
 2021年に入り、新しい情報も飛び込んできています。EV開発関連では、2020年12月に上海蔚来汽車や小鵬が数千億円規模の資金調達をしたのに続き、翌1月には、BYDが約4000億円、また、恒大が3500億円の調達を発表して2021年後半を目途にした商品開発に拍車を掛け始めました。同月には更に、百度が吉利と組んで会社を設立し、自動運転EV市場へ参入することを表明しましたが、アメリカのアップルも同様な計画をしており、業界の枠を超えた合従連衡が激しさを増しています。そんな中、EVの販売で先行するテスラは、19年末に稼働した上海の工場が順調に稼働し、2020年12月には最終黒字に転じ、注目されましたが、一方で、不具合や発火事故などで、当局のチェックも承けました。もう一つ注目されるのが、50万円クラスの小型EVの開発販売で、上海自動車はこれで新興市場を席捲しようと虎視眈々です。2020年のEV販売ランキングは、①上海自動車 ②BYD ③テスラですが、日系企業も意欲的な販売計画を次々と発表しており、この勢力図が今後どう変わるか予断を許しません。こうした中更に、EVに必要なコバルトやニッケルの囲い込みも始まっており、コバルトはコンゴ産などを、ニッケルはインドネシアやフィリピン産などを巡って争奪戦が始まっています。

次回は6月24の更新予定 テーマは<新科学技術革命と中国>です。

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